2021年~2022年

2023年1月25日更新(2022年12月31日の出来事までを掲載) クロニクル趣旨文はこちら

2021年

125北朝鮮外務省、米国が地域の平和と安定を損ねていると非難。北朝鮮外務省(5)は「米国は地域の安定と平和の破壊者」と題した文書の中で、米国が核兵器に転用可能な高濃度のウランを用いる原潜をオーストラリアに提供を決めたAUKUSや、Quad、ファイブ・アイズ等を例に挙げて米国の二重基準を非難し、米国がインド太平洋地域で「一方的で不公平なブロックを形成する対外政策を追求することにより、無分別な軍拡競争を引き起こしている」と主張した。

126
国連総会、核兵器禁止条約発効を歓迎し、加盟を呼びかける決議を採択。76回国連総会は軍縮・国際安全保障を扱う国連総会第1委員会で議論された決議案の採決を行い、核兵器禁止条約が今年1月に発効したことを歓迎する決議案を採択した。賛成128、反対42、棄権16だった。米国や英国などの核保有国と、米国の核の傘の下にある日本などが反対し、北朝鮮は賛成した。

岸田文雄首相、所信表明演説で日朝平壌宣言に基づき、日朝国交正常化の実現を目指すと表明。新しく首相になった岸田は所信表明演説(6)で、北朝鮮政策について「拉致問題は最重要課題です。全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、米国をはじめ各国と連携しながら、あらゆるチャンスを逃さず、全力で取り組みます。私自身、条件をつけずに金正恩委員長と直接向き合う決意です。日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指します。」と述べ、安倍・菅政権と同じ姿勢を示した。

同じ所信表明演説で、「敵基地攻撃能力」保有検討を明示。「国民の命と暮らしを守るため、いわゆる敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討し、スピード感をもって防衛力を抜本的に強化していく」と述べ、「新たな国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画を、概ね1年かけて策定する」と表明した。

127
米国共和党議員が米国政府宛に終戦宣言に反対する書簡。ヤング・キム議員など、米国の共和党の連邦下院議員35人が米国政府宛てに「北朝鮮の非核化と人権尊重の約束が前提になっていない終戦宣言に反対する」という書簡を送った。

128
韓国政府が米共和党議員らの「終戦宣言反対」書簡に反論。米国共和党の政治家たちが終戦宣言反対の書簡を米国政府宛てに送ったことに対し、韓国外務省当局者は異例のブリーフィングを開き、「キム議員など一部共和党議員の(終戦宣言に対する)懸念表明もあるが、米国議会内では終戦宣言の趣旨を理解して支持するなど、多様な意見がある」と述べて反論した。韓国外務省が米国議会の動きに関するブリーフィングを自ら要望する異例の動きに出たのは、米国の北京冬季五輪「外交的ボイコット」表明で終戦宣言に向けたモメンタムが落ちるのを懸念したためとみられる。

韓国政府、北京五輪外交的ボイコットが朝鮮戦争終戦宣言に与える影響を否定。韓国大統領府高官は、「終戦宣言と北京五輪の間には直接的な関係はない」と述べて、米国の外交的ボイコットが朝鮮戦争終戦宣言構想に支障をきたす可能性を否定した。また、高官は「北京五輪の(外交的)ボイコットについては、韓国政府としては現在検討していない」とし、「政府代表団の参加について決まったことはなく、決定され次第お伝えする」と述べた。

1210
バイデン政権、「人権問題」を理由に北朝鮮などに初の新規制裁。米国政府は、反人権行為を理由に北朝鮮の李永吉(リ・ヨンギル)国防相、中央検察所など15個人、11団体を制裁対象リストに追加した。他には、中国、ミャンマー、バングラデシュの個人と団体も含まれた。制裁対象になった個人や団体は、米国内の資産が凍結され、米国との取引が禁止される。

1211
林芳正外務大臣、G7外相会合で、北朝鮮の「全ての大量破壊兵器」と「あらゆる射程の弾道ミサイル」の完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄を主張。朝鮮半島の非核化について、林は「大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルのCVIDに向け、安保理決議の完全な履行が不可欠」だと強調。
(解説)北朝鮮の「全ての大量破壊兵器」と「あらゆる射程の弾道ミサイル」を対象とする林の主張は、朝鮮半島の非核化と平和を目指すことを約束した米朝のシンガポール共同声明よりもさらに多くのことを北朝鮮に要求している。北朝鮮の核兵器のみを問題にしている点も、これまでの米朝の合意を無視する主張である。

12月13日 文在寅大統領、米国と中国が朝鮮戦争終戦宣言に原則賛成と主張。韓国の文在寅大統領は、スコット・モリソン豪首相との首脳会談後の会見で、朝鮮戦争の終戦宣言について、「関連国である米国と中国、そして北朝鮮が全て原則的に賛成の立場を示した」と述べた。一方で、北朝鮮が米国の敵視政策を止めることを前提条件にしているため、まだ対話ができていないことを明かした。

韓国統一相、北朝鮮に終戦宣言を呼びかけ。韓国の李仁栄(イ・イニョン)統一部長官は、1991年の南北基本合意書採択から31年を迎えたことを受けて開かれた学術会議において、停戦状態を平和状態に変える努力が謳われた同文書の「初心」に立ち返ることが「再び重要なスタート地点になるだろう」とし、北朝鮮に韓国政府が進める終戦宣言の提案に応じることを求めた。

12月14日 北朝鮮、日本の軍事費増大を非難。北朝鮮の朝鮮中央通信(21/12/14)は日本の2021年度補正予算案の中で、防衛費が前年比7%増で過去最大の7738億円になったことを非難した。

12月16日 国連総会、北朝鮮の人権侵害を非難する決議案を採択。北朝鮮人権決議案の採択は17年連続。EUによって提出され、無投票で採択された。日本は共同提案国だった。決議は日本人拉致について「被害者の即時帰還の緊急性と重要性」を強調し、「透明性」を持った解決を求めた。

12月17文在寅大統領、朝鮮戦争終戦宣言を「平和の時計回す動力」と表現し、その必要性を強調。文在寅大統領は大統領直属の諮問機関である民主平和統一諮問会議の全体会議で、朝鮮戦争終戦宣言を「戦争の記憶と離散の傷を癒やして、理解と協力、寛容と包容の価値を共有し、朝鮮半島の平和の時計が再び回り出す動力」と述べ、不確実で困難な道と認めつつも、その必要性を強調した。

12月23日 韓国統一省、朝鮮半島平和推進計画を文在寅大統領に報告。統一省は、朝鮮半島和平プロセスを再稼働させ、朝鮮半島の完全な非核化の責任を果たすための2022年度業務計画を文在寅大統領、外務省、そして国防省に報告した。報告書は朝鮮戦争の終戦宣言によって非核化の勢いを作ると強調する一方で、膠着状態が長引けば情勢の不確実性が増す可能性を指摘した。

12月25日 元在韓米軍司令官、米韓の新たな作戦に中国への対処を盛り込むべきと主張。ロバート・エイブラムス元在韓米軍司令官は、ボイス・オブ・アメリカとのインタビューで、12月2日の米韓両国が安保協議会で承認した戦略企画指針に「中国への対処を含めるべき」と発言した。戦略企画指針は、増大する北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対処することを目的としたものである。韓国国防省の夫勝粲報道官は後日(27日)、エイブラムスの発言について、「韓米安保協議会が最高の成果を上げたこの時期に彼がこうした発言をした意図が分からない」と述べ、評価を避けた。

12月29日  韓国外相、朝鮮戦争終戦宣言について米国と「事実上合意」と述べる。韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)外相は記者会見で、韓国と米国の間で朝鮮戦争終戦宣言の文言について「すでに事実上合意している状態」であることを明らかにした。韓国政府高官が終戦宣言が事実上合意に至ったと述べたのはこれが初めてである。

12月30日 中国外相、朝鮮半島非核化プロセスの推進堅持を表明。中国の王毅外相は、新華社と中央広播電視総台との共同インタビューで、朝鮮半島情勢について、中国は朝鮮半島の平和と安定にコミットし、平和メカニズムの構築と非核化プロセスの推進を並行して進めるという立場を堅持すると述べた。

12月31日
北朝鮮、朝鮮労働党中央委員会総会を終了(27日~31日)。朝鮮労働党中央委員会総会が12月27日から31日にかけて開催された。朝鮮中央通信(22/1/1)の報道によると、金正恩は「日を追うごとに不安定になっている朝鮮半島の軍事的環境と国際情勢の流れは、国家防衛力の強化を少しの遅れもなく力強く推進することを求めている」と述べ、昨年決定の五ヵ年計画に沿って防衛力の強化を求めたことを伝えた。外交政策については従来の方針を維持している事が報道からうかがえるが、詳細は伝えられていない。同紙によると、総会では主に経済政策、特に農業政策が重点的に論じられた模様である。

2022年
1月3日 文在寅大統領、新年の演説で「チャンスがあれば最後まで南北関係正常化と、後戻りできない平和の道を模索する」と表明。
核兵器保有5か国が共同声明で「抑止力」としての核兵器保有を正当化。米ロ英仏中の核兵器保有5か国は、核兵器国間の戦争の回避と戦略的リスクの軽減が最も重要な責務であるとする共同声明を発表した。声明の中で、核不拡散条約(NPT)の重要性とNPT第6条を含めた履行義務を強調し、「核兵器なき世界という『究極の目標』を実現するため」に「全ての国家と協力する」と述べる一方で、「核兵器が存在する限り、核兵器が防衛的な役割を果たし、侵略を抑止し、戦争を防ぐべきだと確認した」と述べて、核兵器の保有を正当化した。

1月5日 北朝鮮、「極超音速ミサイル」を試射。朝鮮国防科学院が「極超音速ミサイル」の試射を行った。朝鮮中央通信(22/1/6)によると、「試射で、ミサイルの飛行時の飛行制御性と安全性を再確認」し、新しく採用した「側面機動技術(水平方向に不規則に軌道を変える)の遂行能力を評価」した。最初の120キロを側面機動した後、「700キロ先の標的に誤差なく命中した」。同通信は、「極超音速ミサイル部門での相次ぐ試験の成功は、第8回党大会が示した国家戦略武力の近代化課題を促し、5か年計画の戦略武器部門の最優先5大課題の中の最も重要な中核課題を完遂するという戦略的意義を持つ」と説明した。北朝鮮がミサイルを発射したのは昨年1019日の潜水艦発射の弾道ミサイル以降初めて。
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文在寅大統領、北朝鮮との対話の必要性を改めて強調。北朝鮮が「極超音速ミサイル」を発射したことに関して、江原道高城(カンウォンド・コソングン)で開かれた江陵(カンヌン)~猪津(チェジン)鉄道着工式に出席中の韓国の文在寅大統領は、「こうした状況を根源的に克服するために対話を諦めてはならない。北朝鮮も対話のためにもっと真剣に努力すべきだ」と主張した。文は「(北朝鮮の発射で)緊張が作りだされ、南北関係の停滞がいっそう強まる可能性があるという恐れがある」としながらも、「このような状況を根源的に乗りこえるためにも、対話の糸口を手放してはならない」と、対話の必要性を再び強調した。

1月6日 北朝鮮、「敵対勢力の策動」とCOVID-19を理由に北京冬季五輪へ不参加表明。

1月7日 日米「2+2」、北朝鮮の非核化を求める一方、米国の日本に対する拡大抑止を再確認。敵基地攻撃能力保有検討も事実上表明。岸田政権としては初の日米安全保障協議委員会(「2+2」)をオンラインで開催。両国は「朝鮮半島の完全な非核化へのコミットメント」を再確認し、北朝鮮に対し国連安保理決議を遵守することを求める一方で米国の日本に対する拡大抑止を再確認。また、日本は「国家の防衛に必要なあらゆる選択肢を検討する」とし、事実上、敵基地攻撃能力の保有検討を表明した。さらに、日米は地域の戦略バランスを悪化させる「核兵器、弾道ミサイル及び巡航ミサイル、並びに極超音速などの先端兵器システムの大規模な開発及び配備についての懸念を共有」し、対応として共同分析や研究開発を進める方針で一致した。

(日米安全保障協議委員会共同発表(外務省の仮訳)抜粋) 「米国は、核を含むあらゆる種類の能力を用いた日米安全保障条約の下での日本の防衛に対する揺るぎないコミットメントを改めて表明した。日米は、米国の拡大抑止が信頼でき、強靱なものであり続けることを確保することの決定的な重要性を確認した」 「閣僚は、朝鮮半島の完全な非核化へのコミットメントを再確認し、北朝鮮に対し、国連安保理決議の下での義務に従うことを求め、北朝鮮の核及びミサイル開発活動の進展への強い懸念を表明し、拉致問題の即時解決の必要性を確認した」 「日本は、戦略見直しのプロセスを通じて、ミサイルの脅威に対抗するための能力を含め、国家の防衛に必要なあらゆる選択肢を検討する決意を表明した」

1月10日
国連安保理、5日の北朝鮮による弾道ミサイル発射実験を受けて非公式会合。一致した非難決議は出せず。非公式会合に先立ち、米国連大使は、アルバニア、フランス、アイルランド、日本、英国、米国を代表して共同声明を発表。北朝鮮の大量破壊兵器の追求は国際平和と安全保障に対する脅威だと指摘し、非核化に向けた対話に応じることを求めた。

1月11日 北朝鮮、極超音速ミサイルの発射実験を実施。朝鮮中央通信(22/1/12※)によると、実験は、金正恩総書記立会の下、「開発された極超音速兵器システムの全般的な技術的特性を最終的に実証」することを目的に実施された。発射後、600キロの地点で、ミサイルから極超音速滑空体(HGV)を分離させて旋回させ、1000キロ先の目標に命中させた。同通信は「最終試射を通じて、極超音速滑空飛行戦闘部の優れた機動能力がいっそうはっきり実証された」、「最も重要な戦略的意義を持つ極超音速兵器開発部門で大成功」と評価した。金正恩のミサイル実験の視察は1年10か月ぶり。韓国軍の分析によると、慈江道から発射され、飛翔体の飛距離は700キロ以上で、最高速度は「極超音速ミサイル」に匹敵するものであった。 ※リンク先の過去のニュース "Past News”から日付で検索。 (各国の反応) 韓国政府は国家安全保障会議(NSC)常任委員会の緊急会議を開き、「強い遺憾」を表明した。

1月12日 バイデン政権、北朝鮮の大量兵器開発関与の7人と1団体に経済制裁。米財務省は、北朝鮮の大量破壊兵器と弾道ミサイルプログラムの開発に関与した北朝鮮国籍の6人とロシア人1人、ロシアの1団体を制裁対象に加えると発表した。米国内の資産が凍結され、米国人との取引が禁止される。北朝鮮の弾道ミサイル発射に関連した米国の経済制裁はバイデン政権下で初めて。

松野官房長官、「敵基地攻撃能力」保有の検討を言及。松野博一官房長官は定例記者会見で北朝鮮がミサイル能力を向上させ、脅威が高まっているとし、「政府はいわゆる『敵基地攻撃能力』保有を含め、あらゆる選択肢を検討し、防衛力を抜本的に強化する」と強調した。

1月13日 米国務長官、北朝鮮のミサイル発射実験を非難。ブリンケン米国務長官は、北朝鮮がミサイル実験を立て続けに行っていることについて、「危険であり、国連安全保障理事会の決議全体に違反するものだ」と述べた。ブリンケン長官はまた「我々は米国と同盟国およびパートナー国を適切に防衛できるようにし、北朝鮮のこうした行動には影響と結果が伴う」と述べた。
米国、一連のミサイル実験を受け、日韓との連携を確認。北朝鮮のソン・キム米国特別代表は、外務省アジア海洋局長官武弘と韓国半島平和安全保障特別代表の魯圭悳(ノ・キュドク)と電話で協議し、「朝鮮半島の完全な非核化」という共通目標に対する米国のコミットメントを再確認。同時に、米国との対話に応じるように北朝鮮に求めた。

1月14日 
北朝鮮外務省、ミサイル実験は「合法的権利」と主張し、米国の対応を「言いがかり」と非難。(朝鮮中央通信(22/1/14※)抜粋)
「最近、われわれが行った新型兵器開発事業は国家防衛力を近代化するための活動であるだけで特定の国や勢力を狙ったものではなく、それによって周辺諸国の安全に危害を与えたものも全くない……米国がわれわれの合法的な自衛権行使を問題視するのは明白な挑発であり、強盗さながらの論理である。これは、現米行政府が口先では外交と対話を言い立てるが、実際には対朝鮮孤立・圧殺政策に執ように取りすがっていることを示す。国家防衛力強化は、主権国家の合法的権利である。われわれは、正々堂々たる自己の権利を放棄しないであろう。米国がなんとしてもこのような対決的な姿勢を取っていくなら、われわれはより強力に、はっきり反応せざるを得ない。」 ※リンク先の “Past News” から日付で検索。 北朝鮮、鉄道ミサイル部隊の訓練で2発の戦術誘導弾を日本海に向けて発射。朝鮮中央通信(22/1/15※)によると、射撃訓練は安北道鉄道機動ミサイル連隊の実戦能力を判定するために行われた。 韓国軍によると、飛行距離は300~400キロ。 (各国の反応) ミサイル発射を受け、韓国国家安全保障会議(NSC)は、常任委員会の緊急会議を開催。委員らは「重ねて強い遺憾」を表明し、関連各国と緊密に協議していくことにした。  米国のブリンケン国務長官と鄭義溶(チョン・ウィヨン)韓国外相は米韓同盟の重要性を再確認し、北朝鮮の弾道ミサイル発射を国連安保理決議に違反しているとして非難するとともに、日米韓3か国が引き続き協力していくことの重要性を強調した。また、朝鮮半島の完全な非核化と永続的な平和の達成のための協力について話し合った。 ※リンク先の “Past News”から日付で検索。

1月15日
米軍、オハイオ級戦略原子力潜水艦ネバダがグアムに寄港と発表。弾道ミサイル搭載型の戦略原潜の寄港発表は異例で、中国と北朝鮮を牽制する狙いがあるとの見方が広がる。CNNによると、ネバダは潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)20 基と核弾頭数十発を搭載。

1月16日
中朝間の貨物列車が1年半ぶりに再開。新型コロナウイルス感染症の発生以来、停止されていた北朝鮮と中国を結ぶ貨物列車の運行が再開された。医薬品や生活必需品など「緊急物資」を積み、北朝鮮に戻る予定。21日、韓国国家情報院は「列車運行が始まったということは、今後北朝鮮と中国間の人的交流の再開を推進する過程とみられる」との見解を示した。

1月17日
北朝鮮が短距離弾道と推定されるミサイルを日本海に向けて発射。韓国軍によると2発発射され、ミサイルの飛行距離は400キロ未満、最高速度はマッハ5(音速の5倍)程度であった。
(各国の反応)
韓国は国家安全保障会議(NSC)を開催し、北朝鮮の動向を注視しながら必要な措置を講じる方針を確認した。また、早期の対話が重要であることを強調し、「挑発」との表現は控えた。

北朝鮮、「戦術誘導弾」を発射実験。北朝鮮の朝鮮中央通信(22/1/18※)は、発射実験について、「生産されている戦術誘導弾を検閲し、兵器体系の正確性を検証する目的」で行われたと伝えた上で「西部地区で発射された2発の戦術誘導弾は(標的にした)東海上の島の目標を精密に打撃した」と明らかにした。
※リンク先の “Past News”から日付で検索。

日米韓の北朝鮮担当高官、北朝鮮のミサイル発射巡り電話協議。韓国外務省の魯圭悳朝鮮半島平和交渉本部長、米国のソン・キム北朝鮮担当特別代表、日本外務省の船越健裕アジア大洋州局長は北朝鮮が発射した短距離弾道ミサイルの分析を共有し、対応策を協議した。3者は北朝鮮の動向を注視し続け、朝鮮半島の完全な非核化と速やかな対話再開のために緊密に協力し合うことで一致した。

国連、北朝鮮のミサイル発射を懸念するも、「外交的な対話必要」と主張。国連のドゥジャリク事務総長報道官は北朝鮮の弾道ミサイル発射について、「北朝鮮と全ての当事者が外交的対話に参加する必要性を改めて想起させる」と述べ、北朝鮮と関連国が対話を通じて非核化を達成することを促した。

1月20日
北朝鮮、党中央委政治局で核・ICBM発射実験の再開検討を指示。北朝鮮の朝鮮中央通信は前日に党中央委員会政治局会議で国への対応策が議論されたと伝えた。金正恩総書記が司会を務める同会議は「暫定的に中止していた全ての活動を再稼動させる問題を迅速に検討するよう(関係機関に)指示した」とし、核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験の再開を示唆した。同通信によると、会議では「朝米首脳会談以降、私たちが情勢緩和を維持するために尽くした誠意ある努力にもかかわらず、米国の敵視政策と軍事的脅威が黙認できない危険ラインに至った」と指摘。「国家の尊厳と国権、国益を守るためのわれわれの物理的な力を確実にする実際的な行動に移るべきだと結論付けた」。
(各国の反応)
韓国外務省の崔泳杉(チェ・ヨンサム)報道官は定例記者会見で「最近の朝鮮半島情勢を重く受け止め、北朝鮮の一連の動向を注視している」とし、「今後も対話と外交によって朝鮮半島問題を進展させるとの原則を堅持する」と述べた。
中国外務省の趙立堅副報道局長は「制裁や圧力にひたすら訴えても朝鮮半島問題は解決できず、情勢をさらに緊迫させるだけだ」とし、対話による朝鮮半島問題の政治的解決を各国に呼びかけた。

日仏、外務・防衛閣僚会合で北朝鮮の核・ミサイル開発に対する懸念を共有。

北朝鮮の相次ぐミサイル発射で国連安保理が非公開会合を開催。米国は追加制裁を求めたが、中露が同意せず、一致した対応には至らなかった。会合の前に米国など7つの安保理理事国と日本が北朝鮮のミサイル発射は「違法行為」だと非難する共同声明を発表した。

核不拡散条約に関する日米共同声明。広島と長崎への原爆投下を想起しつつ、核不拡散条約(NPT)の義務を再確認しながら、様々な方法で各国に働きかけることを呼びかけた。

1月21日
日米両政府、NPTに関する共同声明(日本外務省(22/1/21※)抜粋)で「北朝鮮の非核化」を要求。「関連する国連安全保障理事会決議に従った、北朝鮮の全ての核兵器、その他の大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイル並びにその関連計画及び施設の完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な廃棄に強くコミット」し、「北朝鮮に対し、全ての関連する国連安全保障理事会決議を遵守し、NPT及びIAEA保障措置に早期に復帰し、完全に遵守するよう求める」と共に、「国際社会全体に対し、これらの関連する国連安全保障理事会決議を完全に履行するよう要請した。

韓国国家情報院、国連が北朝鮮に新型コロナワクチン支援を打診し、北朝鮮が強い関心を示したと報告。平壌駐在の国連傘下機関に勤めていたある国連関係者が去年12月、北朝鮮の金星(キム・ソン)国連大使に新型コロナワクチン6000万ドースを支援する意思を伝え、金大使は強い関心を示した。しかし、未だに北朝鮮から返答はない。

125
北朝鮮の国防科学院、長距離巡航ミサイルシステム更新のための実験で、2発のミサイルを発射。
(ポイント)
巡航ミサイルは弾道ミサイルと違い、発射しても国連安全保障理事会決議に違反しない。

北朝鮮、ジュネーブ軍縮会議で「自衛権」を理由にミサイル開発を正当化し、米国の敵視政策中止を要求。ジュネーブ軍縮会議のハン・テソン常任代表は声明(北朝鮮外務省、22/1/28)で、米国の核の脅威の存在を挙げ、抑止力としての北朝鮮の軍事開発の正当性を訴え、米国に対して「朝鮮半島の平和と安全」のために、朝鮮半島周辺での「攻撃的な軍事演習」や戦略核兵器配備を「永久に中止」し、北朝鮮に対する敵視政策をやめるよう求めた。

126
北朝鮮、サイバー攻撃を受ける。約6時間、北朝鮮へのDDoS(分散型サービス妨害)攻撃が午前中に行われ、電子メールを扱うサーバーや、朝鮮労働党機関紙の労働新聞、朝鮮中央通信など北朝鮮の主なウェブサイトの閲覧が不能になり、翌日に復旧した。

127
北朝鮮の国防科学院、戦術誘導弾の通常弾頭の威力の実証実験を実施。朝鮮中央通信(22/1/28)によると、2発の戦術誘導弾が標的に「正確に」命中し、弾頭の威力も「設計上の要求を満たしている」ことが実証された。韓国軍合同参謀本部によると、発射されたミサイルは約190キロ飛行し、高度は約20キロ。
リンク先の “Past News” から日付で検索。
(各国の反応)
 韓国青瓦台は国家安全保障会議(NSC)常任委員会の緊急会議を開き、「強い遺憾」を再度表明し、対応策を協議した。発表の中にミサイル発射を「挑発」とする表現はなかった。
 米国のプライス国務省報道官は、「前提条件なしで会う用意」があると述べて、今後も「対話」を模索する考えを示した。

1月30日
北朝鮮、中距離弾道ミサイルの火星12の発射実験を実施。朝鮮中央通信(21/1/31※)によると、発射実験は既に「配備」されている火星12の「精度を検証」することを目的にした。北朝鮮の中距離弾道ミサイルの発射実験は2017年以来である。日本政府は、高度約2000キロ、飛行距離約800キロのロフテッド軌道と推定。 ※リンク先の “Past News” から日付で検索。
(各国の反応)
 日本政府は中距離以上の弾道ミサイル発射とみなし、安保理決議違反と抗議した。通常角度での発射なら米領グアムを射程に収めるとした。松野官房長官は、30日の記者会見で、「烈度の高い弾道ミサイル」と従来にない表現で北朝鮮を非難した。
 日米はオンラインで外相会談を行い、「安保理決議に沿った北朝鮮の完全な非核化」に向けて「日米・日米韓で緊密に連携していく」ことで一致し、「日米同盟の抑止力・対処力の強化が不可欠」との認識を確認した。

2月1日
グテーレス国連事務総長、中距離弾道ミサイル発射で非難声明。「明確な安保理決議違反」と指摘し、北朝鮮に対して「いかなる非生産的な行動もやめる」よう促すとともに、「全ての当事者」に対して「平和的な外交解決を追求」するよう求める。

2月3日
韓国軍、懸念されている北朝鮮のICBM発射について「注目に値する活動ない」と評価。韓国軍の関係者が記者団に語った。北朝鮮軍は冬季訓練を現在実施中だとした上で、「核・ミサイル施設に関しては韓米の情報当局が動向を綿密に追跡・監視しているが、現在のところ注目に値する変化はない」と述べた。

2月4日
国連安保理、北朝鮮の中距離弾道ミサイル発射で非公開協議を開催。米国は追加制裁を主張したが、安保理として一致した姿勢は示せず。協議後、安保理理事国の8か国と日本が中距離弾道ミサイル発射を非難する共同声明を発表。

2月5日
ロイター通信、北朝鮮がサイバー攻撃で4億ドル相当(約460億円)の暗号資産獲得と報道。国連専門家パネル報告書が指摘したと紹介。報告書はサイバーセキュリティー会社の報告書を引用。

2月7日
中国、安保理制裁に関する作業部会再設置を提案。中国の張軍国連常駐代表は、安保理制裁がもたらす否定的影響を軽減するため、安保理制裁の人道的・否定的影響について包括的な検証を行い、改善のための的確な勧告を行うことを安保理で提案、安保理による制裁が北朝鮮にもたらす人道的結果に注意を向けるべきと主張。
 
戦略国際問題研究所(CSIS)、北朝鮮の未公表のミサイル基地を特定と発表。衛星写真などから、北朝鮮北部の慈江道檜中里に大陸間弾道ミサイル(ICBM)のためのミサイル基地が存在すると分析。ICBMは未配備で、その理由として、基地の建設や投入可能なICBMが未完成である可能性を指摘し、それまでは中距離弾道ミサイル「火星12」が配備されるのではないかとの見解を示した。

2月8日
北朝鮮外務省、年初からのミサイル実験は「戦争抑止力」を強化するためのものだと説明。世界中で朝鮮だけが言いなりにならずに米国と対峙し、米国本土を射程に収めたミサイル実験で世界を震撼させているとの見解をウェブサイトに掲載。

2月9日
日米韓の国防相が電話会談、北朝鮮の弾道ミサイル発射に「緊密な対応」で一致。米国のロイド・オースティン国防相、日本の岸信夫防衛相、韓国の徐旭(ソ・ウク)国防相が電話で3者会談を行い、「北朝鮮の弾道ミサイル発射は地域の安保を不安定にするものであり、複数の国連安全保障理事会決議への明らかな違反だ」と強調した。

2月10日
文在寅、朝鮮戦争終戦宣言について、米韓で「北朝鮮に提示する宣言の文案まで一致」と明かす。聯合ニュースと海外通信社による書面インタビューで。

北朝鮮担当の日米韓高官、北朝鮮に対話を呼びかけ。外務省の船越健裕アジア大洋州局長、米国のソン・キム北朝鮮担当特別代表、韓国外務省の魯圭悳(ノ・ギュドク)朝鮮半島平和交渉本部長は協議を行い、北朝鮮に緊張を高める行為を中止し対話に復帰するよう求めた。

2月11日
米国、「インド太平洋戦略」を発表。「朝鮮半島の完全な非核化、北朝鮮の人権侵害の解決、北朝鮮住民の生命問題と生計改善という目標に向けて、真剣かつ一貫した対話を引き続き追求していく」と述べる一方で、「同時に北朝鮮の挑発に対応して拡大抑止と韓国および日本との協調を強化し、地域全体で不拡散への努力を強化する」と明らかにした。

2月12日
日米韓外相、対北朝鮮政策を協議。共同声明で、北朝鮮の弾道ミサイル発射に「深刻な懸念」を共有し、「抑止力」強化のための安全保障分野での協力強化を確認。「国連安保理制裁の厳格な履行の重要性」についても確認し、国連安保理での対応で「一層緊密に連携」することで一致。「北朝鮮に対して敵対的な意図を有していないことを強調するとともに、前提条件なしで 北朝鮮と会うことに引き続きオープンであることを強調」し、対話再開を求めた。

2月17日
韓国国防部、4月に空軍防空誘導弾司令部を「空軍ミサイル防衛司令部」に拡大・再編すると発表。防空誘導弾司令部は対北朝鮮ミサイル防衛の中心的な役割を担ってきた部署で、国防部は再編によって「空からの脅威を監視し、複合的で広域・多層のミサイル防衛、および地域の防空任務を遂行することになる」と説明した。

2月18日
韓国の北朝鮮担当高官、北朝鮮との対話再開に向けて中国に「建設的役割」要請。韓国の魯圭悳(ノ・ギュドク)朝鮮半島平和交渉本部長と中国の劉暁明・朝鮮半島問題特別代表との電話協議で。両者は朝鮮半島情勢の安定的な管理のために緊密に協力していくことを確認した。

2月22日
中国の王毅外相、北朝鮮との対話再開に向けて米国に実質的な行動を求める。ブリンケン国務長官との電話会談で、王毅は朝鮮半島の核問題の核心は米朝間の問題であり、 米国は北朝鮮の正当かつ合理的な懸念に注意を払い、実質的に意味のある行動をとるべきだと述べた。

2月27日
北朝鮮、偵察衛星開発のための実験で「ロケット」を発射。実験を行った国家宇宙開発局と国防科学院は「偵察衛星開発で重要な意義を持つ実験」と説明。韓国軍合同参謀本部によると、飛行距離は約300キロメートル、高度は620キロメートル。日本や欧米は弾道ミサイルの発射実験と解釈。
(ポイント)
ロケット発射と弾道ミサイル発射は同様の技術が用いられる。そのため日本や欧米は弾道ミサイルの発射実験とほぼ断定している。なお、北朝鮮は国連安保理決議で人工衛星のためのロケット発射も禁じられている。

2月28日
王毅外相、米朝対話再開に向けて米国の誠意ある行動を求める。韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)外相とのオンライン会談で王毅は、朝鮮半島における緊張をエスカレートさせないためには一刻も早い対話再開が最も効果的であり、米国が北朝鮮の正当な懸念に応える誠実な行動を示すことが鍵であると主張した。

韓国統一部、「モラトリアム維持」を北朝鮮に求める。韓国統一部の李種珠(イ・ジョンジュ)報道官は定例会見で、27日の北朝鮮の「ロケット」発射について、北朝鮮が朝鮮労働党中央委総会で宣言した核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験のモラトリアム(一時停止)を維持し、対話に応じるよう求めた。

国連安保理、北朝鮮の偵察衛星開発実験を受けて非公開の緊急会合。会合後、米国、英国、フランスなどの安保理理事国7か国と、日本と韓国などの有志国4か国合わせて11か国が、北朝鮮の弾道ミサイルの発射を「最も強い言葉で非難する」との共同声明を発表。

3月5日

北朝鮮「偵察衛星開発」と称して再び発射実験。朝鮮中央通信によると、「偵察衛星開発計画」に基づき、国家宇宙開発局と国防科学院が行った。韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮が5日午前に発射した飛翔体の飛行距離は約270キロ、高度は約560キロ。先月27日に発射した準中距離弾道ミサイル(MRBM)と類似する。


3月7日

国連安保理、北朝鮮の発射で緊急会合。北朝鮮が5日に飛翔体を発射したことを受けて非公開の緊急会合で対応を協議したが、安保理としての一致した対応には至らなかった。会合後に米国などの安保理理事国と韓国、日本など11カ国が共同声明を発表し、北朝鮮のミサイル発射を非難した。


米メディア、豊渓里核実験場での施設復旧の可能性を報じる。米NBCテレビ(電子版)は、北朝鮮北東部の豊渓里核実験場で、新たな建物の建設や施設を復旧している可能性のある動きが衛星画像で確認されたと報じた。衛星画像は米民間企業マクサー・テクノロジーズが4日に撮影し、米ジェームズ・マーティン不拡散研究センターが分析した。同センターの核専門家ジェフリー・ルイス氏は、画像が復旧作業の「極めて初期の兆候」を示しており、核実験再開に向けて北朝鮮が実験場修復を決定した可能性があると指摘した。


3月10日

金正恩、偵察衛星計画の全面的サポートを表明。朝鮮中央通信によると、金正恩朝鮮労働党総書記は国家宇宙開発局を視察し、「5か年計画の期間内に多数の軍事偵察衛星を軌道上に配置し、衛星による偵察情報収集能力を構築するという宇宙開発局の決定を全面的にサポートする」と述べた。これに対し、韓国統一部は10日、「緊張を高める行為をやめ、国際社会と約束した核実験とICBM発射実験のモラトリアム(一時停止)宣言を順守」するよう北朝鮮に呼びかけた(聯合22/3/10)。


米国務省のプライス報道官、米朝対話再開は北朝鮮次第と述べる。定例会見で北朝鮮に対し、実質的かつ持続的な対話に関わるよう促すとともに、米国は北朝鮮に対話を提案しており、これに応じるかは北朝鮮の判断だと主張した。

3月11日
日米韓、「偵察衛星打ち上げ実験」を行なった2発の飛翔体は新型ICBMと同型と分析。防衛省は、日米韓3か国政府の分析の結果、北朝鮮が2月27日、3月5日に発射した2発の飛翔体は、2020年10月に朝鮮労働党創建75周年記念日の軍事パレードで公開された新型ICBMと同型と判断したと発表した。

米国、北朝鮮の弾道ミサイル開発支援を理由にロシアの企業・個人を制裁対象に指定。米国政府がICBMのシステムと技術を利用したと結論付けた直近の偵察衛星開発のための飛翔体発射実験に対する対抗措置。

3月13日
北朝鮮メディア、2発の飛翔体は弾道ミサイルという日米韓などの主張に反論。北朝鮮の韓国向け宣伝用ウェブサイト「わが民族同士」は偵察衛星開発のためのテストが目的だったと主張したうえで、多くの国が以前から軍事衛星を打ち上げており、北朝鮮の偵察衛星打ち上げ準備のみを非難し、「制裁をちらつかせる不公正さ」を糾弾した。

3月15日
米第7艦隊、黄海上で空母エーブラハム・リンカーンの艦載機飛行演習を実施と発表。同艦隊は声明で「ICBM発射は国連安保理決議や国際公約の明らかな違反で、地域と国際社会に脅威を及ぼす」と指摘し、「米国の決意と関与を示す」ため、米インド太平洋軍が黄海で空母艦載機による航空行動を「実演」したと強調した。

北朝鮮外務省、中国外相発言引用し「核交渉停滞は米国に原因」と主張。中国の王毅外相は7日の会見で「朝鮮半島問題の根は北朝鮮が直面している安全保障上の脅威が長期にわたり解消されておらず、北朝鮮の合理的な安保に対する懸念が根本的に解決されていないことにある」と指摘した。北朝鮮は王氏の発言を詳細に紹介した上で、この発言は朝鮮半島問題が解決しない原因がどこにあり、責任が誰にあるかをよく示しているなどと強調した。また朝鮮半島問題は米国の対北朝鮮敵視政策により生まれたとし、「米国は国際社会の公正な正義の声に耳を傾け、敵視政策を撤回しなければならない」と主張した。

3月16日
韓国軍、北朝鮮が飛翔体の発射に失敗と発表。韓国軍合同参謀本部は、北朝鮮が午前9時半ごろ平壌近郊の順安(スナン)空港から、弾道ミサイルと推定される飛翔体を発射したが、高度20キロメートルに達しない段階で爆発したと発表した。

3月20日
朝鮮が黄海上に多連装ロケットを発射。韓国軍関係者によると、午前7時20分ごろから約1時間の間に北朝鮮中部の平安南道から黄海上に多連装ロケット4発を発射した。聯合ニュースは、ロケット砲発射は冬季訓練の一環か改良型ロケット砲の性能試験であるとの見方を伝えた。

3月22日
韓国次期大統領、北朝鮮のロケット砲発射は「軍事合意違反」と指摘。尹錫悦(ユン・ソンニョル)次期大統領は北朝鮮の20日の多連装ロケット発射は「9・19(南北軍事分野合意書)の明白な違反」と述べた。

3月24日
北朝鮮、ICBMの発射実験を実施。朝鮮中央通信(22/3/25)によると、北朝鮮はICBM「火星17」を発射し、最大高度6248.5キロまで上昇し、距離1090キロを1時間7分32秒かけて飛行して、日本海の公海上の予定水域に正確に弾着したと発表した。ただし、韓国国防省は、火星17を発射したという北朝鮮の発表について「16日の(火星17の)発射失敗の場面を平壌の住民が目撃した状況で流言飛語の防止と体制安定のため、最短時間内に『成功のメッセージ』を伝える必要があり、2017年に発射に成功し信頼度が高い火星15を代わりに発射した」と分析している。  また、金正恩は「国の安全と未来のあらゆる危機に備えて強力な核戦争抑止力を質量ともに、持続的に強化していこうとするわが党と政府の戦略的選択と決心は確固不動」だと述べ、今後も核抑止力を中心に据えた「国防力強化」を優先的に行う考えを示した。 ※リンク先の “Past News” から日付で検索。

(各国の反応)  韓国の文在寅大統領は、24日の国家安全保障緊急会議で、北朝鮮の今回の発射は、金正恩が国際社会に約束したモラトリアムを自ら破棄したものであり、朝鮮半島と地域そして国際社会に深刻な脅威をもたらし、国連安保理決議に明確に違反したものであると強く糾弾した。尹錫悦(ユン・ソンニョル)次期大統領は、25日、自身のフェイスブックに、北朝鮮のICBM発射について「北に厳重に警告する。挑発で得られるものは何もない」と書き込んだ。「韓国はさらに強固な安全保障態勢を備え、自由と平和を守っていく」と強調した。また、韓国軍は、報復能力を示すため、日本海上で5発のミサイルを発射した。  岸田文雄首相は24日、訪問先のベルギー「許せない暴挙で断固として非難する」と述べ、米韓などと連携して対応する考えを示した。林芳正外相は、25日、韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)外相と電話会談を行なった。両者は、今回の発射が国連安保理決議に明らかに違反しているだけでなく、北朝鮮が国際社会に約束したICBM発射のモラトリアムを破棄したと強く糾弾するとともに、ICBMの発射は朝鮮半島と北東アジア、国際社会全体に対する深刻な脅威であり、断固とした対応が必要との意見で一致。緊張を高める行為を中止するよう求めた。  国連安保理は、25日、公開の緊急会合を開いた。米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は「発射は複数の安保理決議に違反し、国際社会全体を脅かすものだ」と北朝鮮を強く非難するとともに、新たな制裁決議案を提出する考えを示した。ただ、その詳細や提出時期は明らかにしていない。一方、中国の張軍国連常駐代表は、すべての関係国が冷静さと自制を保ち、対話を堅持し、緊張を悪化させ誤解を招く行動をとらないよう求めた。さらに、米朝は早急に直接対話を再開すべきであり、米国は誠意を示し、意味のある行動をとることで、情勢を安定させ、相互信頼を築き、対話再開にむけて一層努力するよう促した。国連外交筋は「決議の交渉には数週間ほどかかる」との見通しを示した。  安保理会合後、米英など8理事国と日韓などあわせて15か国が共同声明を発表した。声明は、北朝鮮によるICBM発射を「最も強いことばで非難する」とともに、「北朝鮮が大量破壊兵器や弾道ミサイル計画を放棄し外交に戻るよう強く促すため、すべての国連加盟国、特に安保理の理事国は、われわれとともに行動するよう求める」として、中国やロシアも含め、安保理での一致した対応が必要だと強調した。

3月28日
朝鮮中央通信、金正恩が核抑止力のさらなる強化の方針を表明と報道。ICBM「火星17」発射実験成功を祝う記念写真撮影の席で、金正恩は火星17の開発を「国の核戦争抑止力の強化という必要不可欠で神聖な事業」と評価し、「真の防衛力はすなわち、強力な攻撃能力である、誰も止められない恐るべき攻撃力、圧倒的な軍事力を備えてこそ、戦争を防止して国家の安全を裏付け、あらゆる帝国主義者の威嚇・恐喝を抑止して統制することができると述べるとともに、「偉大なわが国家の発展と安全、わが革命偉業の勝利の前進のために……国の核戦争抑止力をいっそう加速的に完備していく」と述べた。

3月29日 バイデン政権、「核態勢見直し(NPR)」の概要を発表。概要は、核兵器の基本的な役割について「米国、同盟・友好国に対する核攻撃を抑止」することを掲げ、「米国や同盟国・友好国にとっての死活的利益を守るため、極限的な状況においてのみ核兵器の使用を検討する」と述べる。

3月30日
韓国国防省、人工衛星計画で固体燃料ロケットの発射実験に成功と発表。今後、小型衛星の軌道投入を目指すとみられる。韓国国防省は「北朝鮮がICBMを発射するなど非常に重大な時期に成功した。監視・偵察分野の国防力強化に向け重要な里程標だ」と説明した(時事22/3/30)。

3月31日
韓国政府、文在寅政権が日米韓3か国軍事演習を拒否したことを間接的に認める。2022年2月12日の3か国外相会談や3月11日の外務次官会議で、日米が提案した3か国合同軍事演習に対して韓国側はさまざまな理由を挙げて難色を示したと報じられた件について、韓国外務省の報道官は、報道内容を否定せず、日韓間の軍事協力は「両国の信頼回復と国民の共感」が前提になるとの認識を示した。

4月1日
韓国国防相、先制攻撃言及で北朝鮮を牽制。韓国の徐旭(ソ・ウク)国防相は、ミサイル部隊の組織改編式で「北朝鮮の(韓国に対する)ミサイル発射の兆候が明確な場合には、発射地点や指揮・支援施設を精密に打撃できる能力と態勢を備えている」と述べ、「軍は多様なミサイルを保有し、北朝鮮のいかなる標的も正確かつ迅速に打撃できる」とも強調した。

日米両政府、それぞれが北朝鮮に追加制裁。日本政府は閣議において北朝鮮の新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射などを踏まえ、国連安全保障理事会決議が禁じる活動にかかわったロシア国内の企業など4団体9個人を資産凍結対象に追加指定した。北朝鮮の核・ミサイル開発に関する制裁対象は129団体120個人に増加した。また米国政府も、ミサイル開発関与を理由に北朝鮮の5団体を制裁対象に追加した。

国連安保理、北朝鮮制裁委員会の年次報告書を公表。サイバー攻撃を通じ、海外から極超音速ミサイルの開発技術を盗み取ったり、仮想通貨の違法な獲得などを行っている可能性が高いことを指摘。 

4月2日
金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長、先制攻撃に言及した韓国国防相を強く非難し、対韓国政策を再検討すると明言。朴正天(パク・チョンチョン)朝鮮労働党書記も、韓国国防相の先制攻撃言及について「核保有国に対して「先制打撃」をうんぬんするのは、気違いか馬鹿に違いない」と述べて非難し、韓国政府に対して、緊張を高める「対決的」な言動を控えるよう要求した。

4月4日
金与正、北朝鮮は同じ民族である韓国との戦争に反対の立場だが、韓国が「先制攻撃」をするなら、核戦力で応じると警告。金与正は「核戦力の本来の任務はそもそもそういう戦争に巻き込まれないようにするためのものである。しかし、戦争状態になれば、その任務は相手の軍事力を一撃で排除することに変わる。核戦力は、戦争の初期段階で主導権を握り、相手国の戦意を挫き、戦争の長期化を防ぎ、自国の軍事力を保持するために使用する」と述べた。

4月5日
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)次期大統領、バイデン大統領への親書で「米韓同盟を包括的な戦略同盟へと高めたい」との意向を表明。

米中北朝鮮担当高官、ワシントンで会談し、北朝鮮のミサイル発射への対応で協議。朝鮮半島の非核化という共通の目標を推進することや北朝鮮を有意義な交渉に参加させる方法につき議論。

4月11日
米空母「エイブラハム・リンカーン」が朝鮮半島東方の日本海に展開。米朝の緊張が極度に高まっていた2017年11月以来。海上自衛隊との共同訓練も実施。

4月15日
平壌で金日成主席の誕生110年を祝う市民パレード行われる。

4月16日
北朝鮮、新型戦術誘導兵器の発射実験。東部の咸興ハムフン)付近から日本海に向け2発を発射し、戦術核を搭載可能なミサイル開発に進展があったと主張。

4月18日
米韓合同軍事演習、始まる(28日まで)。コンピューターを使った机上の指揮所訓練が中心で、野外での軍事演習は行わず。

米韓の北朝鮮担当高官が会談。韓国が政権移行期であることも踏まえ、堅固な連合防衛体制を維持して対応していくことを確認した。会談後の会見で、米国のソン・キム北朝鮮担当特別代表は、「国連安全保障理事会が、北朝鮮に対して、これ以上のミサイル実験は受け入れられないという明確なサインを送ることが極めて重要だ」と述べる一方、「外交の扉は閉じていない。条件なしに、どこででも会う用意がある」とも述べた。

4月21日
韓国の聯合ニュース、韓国軍がSLBMの発射実験で2発を連続発射と報道。聯合ニュースは、韓国軍が18日に潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を20秒間隔で2発連続発射し、400キロメートル先の海上の目標に命中したと報じた。事実上の最終試験と伝えており実戦配備に向け進展があったとみられる。

金正恩総書記が文在寅大統領からの親書に返信。文在寅から寄せられた親書への返信で金正恩は、南北両首脳が歴史的な共同宣言を発表して全民族に未来に対する希望を与えたことを想起し、民族の大義のために最後まで尽力したと述べて、文在寅の行動を高く評価した。

4月25日
北朝鮮は「朝鮮人民革命軍」創設90年を祝う軍事パレードを実施。パレードには大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」やSLBMも登場した。

金正恩総書記は、軍事パレードでの演説で、「国家の根本的利益が侵害」なら、核兵器は戦争抑止力に限定されないと明言。 「われわれの核戦力の基本的使命は戦争を抑止することですが、この地でわれわれが決して望まない状況が醸成される場合にまで、われわれの核が戦争防止という一つの使命にだけ束縛されているわけにはいきません。いかなる勢力であれ、わが国家の根本的利益を侵害しようとするならば、われわれの核戦力は想定外の第二の使命を断固果たさざるを得ないでしょう。」(朝鮮中央通信 22/4/25)。 リンク先の “Past News” から日付で検索。

4月30日
金正恩総書記、軍幹部への激励で再び先制攻撃に言及。 「敵対勢力によって持続し、増大する核脅威を包括する全ての危険な試みと威嚇的行動を、必要であれば先制的に、徹底的に制圧、粉砕するために、わが革命武力の絶対的優勢を確固として維持し、絶えず上向かせるという党中央の確たる意志を披歴するとともに、軍指揮官が党の軍建設方向と総路線をしっかりとらえて革命武力発展の新たな段階を果断に切り開かなければならないと強調した」(朝鮮中央通信 22/4/30)。 リンク先の “Past News” から日付で検索。

54韓国軍合同参謀本部、北朝鮮が弾道ミサイル1発を発射したと発表。発表によると、順安(スナン)付近から日本海に向けて発射され、飛行距離は約470キロ、高度は約780キロ。

56
米財務省、北朝鮮のハッカー集団支援のIT企業「ブレンダー」への経済制裁を発表。仮想通貨の送金元の特定を困難にする「ミキシング」と呼ばれるサービスを実施する企業である同社が、北朝鮮のハッカー集団「ラザルス」のサイバー攻撃やマネーロンダリングを支援したと主張。

米国務省、北朝鮮が5月中にも北東部豊渓里(プンゲリ)で核実験の準備を完了させる可能性があるとの分析を発表。

57 韓国軍合同参謀本部、北朝鮮が新浦(シンポ)の海上付近からSLBMとみられる短距離弾道ミサイル1発を発射したと発表。北朝鮮のミサイル発射は2022年に入ってから15回目。防衛省の推定では、最高高度約50キロで約600キロ飛行した。

510韓国尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領、就任演説で、北朝鮮が「実質的な非核化」なら経済支援と述べる。「核開発を中断し、実質的な非核化へと転換すれば、国際社会と協力して北韓(北朝鮮)の経済や住民の生活の質を画期的に改善できる大胆な計画を準備していく」、「一時的に戦争を回避する脆弱な平和ではなく、持続可能な平和を追求しなければならない」(朝日、22/5/11)。

511 国連安保理、北朝鮮のミサイル発射で緊急会合開催。制裁強化を求める米国と、制裁の緩和の必要性を訴える中ロが対立。既に具体的な追加制裁案を記した決議案を理事国に配布済みの米国は北朝鮮の核実験を念頭に「手遅れになる前に今行動しなくてはならない」と主張。中国の張軍国連大使は「米国は口では(北朝鮮との)無条件の対話に応じると言うが、行動面では制裁を強化し、圧力をかけ続けている」と米国を批判し、制裁強化は朝鮮半島の「現状への対処としてふさわしくない」と主張(時事、22/5/12)。ロシアのアンナ・エフスティグニエワ国連次席大使も「安保理は北朝鮮からの前向きな合図を無視してきた。平壌から無条件の軍縮を期待することは無駄だ」と述べて、中ロが提案する制裁緩和の決議案の検討を訴えた。(朝日、22/5/13

512韓国軍合同参謀本部、北朝鮮が順安付近から日本海に向けて短距離弾道ミサイル3発を発射と発表。発表によると、飛行距離約360キロ、最高高度約90キロ。

朝鮮中央通信の報道で、北朝鮮で新型コロナウイルス感染者が確認されたことが明らかに。翌日には隔離中の発熱者が18万人以上と伝えられるなど、以降、発熱者が急増。北朝鮮政府は同日、朝鮮労働党中央委員会政治局会議を開催し、国家防疫システムを最大非常防疫システムへ移行することを決定。

516 米国政府、対北朝鮮制裁遵守を国際社会に呼びかけ。米国務省・財務省・連邦捜査局が合同で、北朝鮮が国籍を偽ってIT技術者を海外に派遣し、その収益をミサイル開発の資金源にしていると主張し、国籍を偽った北朝鮮のIT技術者を雇用すれ ば制裁違反の可能性があると警告した。

韓国の尹錫悦大統領、初の施政方針演説で朝鮮半島の非核化と南北の相互信頼構築を呼びかけ。南北間の政治的・軍事的要因に影響されず、いつでも北朝鮮への人道援助の扉を開いており、北朝鮮から要請があれば、ワクチン、医薬品、医療機器、保健人材などの支援を惜しまないと述べた。

517
ネッド・プライス米国務省報道官、北朝鮮へのワクチン支援を表明。その上で、北朝鮮がCOVAXからのワクチン提供を拒んでいることに懸念を表明し、北朝鮮の市民が苦しんでいるのに北朝鮮政府がワクチン支援を拒んで核・ミサイル開発に膨大な金を使うのは「皮肉」であり、「悲劇」だと述べて北朝鮮政府の対応を批判した。

WHO、発熱者急増の北朝鮮について懸念を表明。同日の朝鮮中央通信は、269510人あまりの発熱者が新たに発生したことなどを報じているが、北朝鮮は新型コロナの感染状況に関するデータの提供を拒んでいるため、WHOが懸念を表明した。

521米韓首脳会談の共同声明で、米国による韓国への「拡大抑止」提供を確認し、米韓合同軍事演習を拡大する議論開始で合意。また「朝鮮半島の完全な非核化という共通の目標」を改めて強調するとともに、北朝鮮に「大量破壊兵器と弾道ミサイル計画」を放棄させるために「国際社会」と共に働きかけることを確認。そして北朝鮮に対して、これまでの合意や国連安保理決議に従うよう要求するとともに、交渉への復帰を呼びかけた。北朝鮮に対して新型コロナウィルス対策で支援する用意があることも表明。

523 日米首脳会談の共同声明で、日米同盟の「抑止力及び対処力を強化」と、「米国の拡大抑止」の「決定的な重要性」を確認。岸田文雄首相は「日本の防衛力を抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する決意」を表明した。朝鮮半島情勢について、両首脳は直近の北朝鮮の核・ミサイル開発の動向を非難し、「国連安保理決議に従った朝鮮半島の完全な非核化へのコミットメント」を再確認。北朝鮮に対して国連決議に従うよう求めた。また、バイデン政権の対北朝鮮政策の方針である「調整された外交的アプローチ」への支持を表明し、北朝鮮に対して「真剣で持続的な対話への関与」を求めた。

525
韓国軍合同参謀本部、北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイル3発を発射と発表。韓国軍は、1発はICBMの「火星17」、他は短距離弾道ミサイルと推定している。バイデンの日韓
歴訪終了直後のタイミング。

米韓両軍、日本海に向けて地対地ミサイルをそれぞれ一発ずつテスト発射。北朝鮮のミサイル発射を受けた対抗措置。

韓国政府、北朝鮮が核起爆装置の作動試験を実施したことを探知したと発表。北朝鮮による7回目の核実験が近いとの認識を示す。

日米の戦闘機8機が「自衛隊と米軍の即応態勢を確認」する目的で日本海上空で共同訓練を実施。北朝鮮の度重なるミサイル発射の他、前日に中ロの空軍が日本海や南シナ海、太平洋の上空を 共同飛行したことなどを念頭にした対抗措置とみられる。

526
国連安保理、米国提案の新たな対北朝鮮制裁決議案を否決。13か国が賛成したが、中ロが拒否権。反対の張軍・中国国連大使は、「制裁強化は問題解決の助けにならないばかりか、対立の激化を生むだけだ。(北朝鮮での)新型コロナウイルスの感染拡大を背景に人道面で大きな影響を与える」(毎日、22/5/28)と述べ、「中国は改めてすべての当事者に冷静さと自制を保つよう求め、米国側には対北朝鮮政策を深く反省し、政治的解決の方向性を堅持し、北朝鮮側の正当かつ合理的な懸念に対応する有意義な行動をとり、緊張緩和を促進し対話と交渉を再開する条件を整えるよう呼びかけた」(新華社、22/5/27)。  ロシアのヴァシリー・ネベンジャ国連大使は「制裁はいまだに地域の安全保障も、ミサイルや核不拡散の問題を解決することもできていない」(日経、22/5/28)と述べた。
 米国のリンダ・トマス=グリーンフィールド国連大使は「(長年の北朝鮮に対する)安保理の自制と沈黙は脅威をなくすどころか、減らすことさえできなかった。むしろ(北朝鮮を)つけあがらせることになった」(毎日、22/5/28)と述べて、安保理決議を阻止した中国とロシアを非難した。

527
米国政府、北朝鮮の大量破壊兵器と弾道ミサイル開発関与の団体・個人に追加制裁。
北朝鮮の貿易会社、ロシアの銀行2行、北朝鮮国籍の個人1人を新たに制裁の対象に指定。

5月28日
日米韓外相、北朝鮮のミサイル発射を非難する共同声明を発表。安保理の制裁決議案否決に「深い遺憾」を表明し、北朝鮮に対して安保理決議に従うよう求めた。

530G7外相、弾道ミサイル発射の北朝鮮を非難する共同声明発表。「完全かつ検証可能で不可逆的」な形で「大量破壊兵器及び弾道ミサイル計画」を放棄することや、日米韓の対話要請に応じるよう求める。中ロが26日の制裁決議案案採決で拒否権を行使したのは「極めて残念だ」と述べて、「国際社会に結束した対応」を求めた。

6月2日 米韓、合同軍事演習で原子力空母「ロナルド・レーガン」を動員(2日~4日)。沖縄本島沖の公海上で3日間実施した。米韓2か国による軍事演習への原子力空母動員は、2017年11月以来。

6月3日 日米韓の朝鮮半島問題担当政府高官がソウルで会合。日本の船越健裕アジア太洋州局長、米国のソン・キム北朝鮮担当特別代表、韓国の金健(キム・ゴン)韓国外交部朝鮮半島平和交渉本部長が、北朝鮮のミサイル発射を非難し、北朝鮮に対し「違法で危険な行為」を直ちにやめて対話に戻るよう求めた。また、ソン・キム特別代表は、北朝鮮が国際社会のコロナ支援の申し出に前向きに対処するよう希望した。

6月5日 北朝鮮、弾道ミサイル8発を4箇所から同時発射。米韓が探知した8発の飛行距離は約110キロ~約670キロ、高度は約25キロ~90キロ、速度はマッハ3~6の間だった。

日米、北朝鮮のミサイル発射を受けて、日本周辺の海域などで「日米共同弾道ミサイル対処訓練」を実施。自衛隊からはイージス艦「あしがら」などが参加。

6月6日 米韓、北朝鮮のミサイル発射に対抗して同じ数の地対地ミサイルを日本海に向けて発射。韓国軍は「北が様々な場所からミサイルで挑発しても、常に監視態勢を維持し、発射地点などを直ちに精密攻撃する能力を備えていることを示した」と説明した。

国連のステファン・ドゥジャリク報道官、朝鮮半島情勢を巡り、全ての当事者に対して「危険な」行為を回避するよう呼びかけ。北朝鮮の弾道ミサイル発射や米韓の地対地ミサイル発射などを受けて。

米国務省報道官、朝鮮半島非核化を実現する最も効果的な方法は外交と対話であると発言。記者の質問に対して。

IAEAグロッシ事務局長、豊渓里(プンゲリ)の核実験場で坑道の一つを復旧させた兆候があり、北朝鮮が核実験の準備を行っている可能性があると指摘。定例理事会冒頭の声明で。

6月7日 米韓両軍、北朝鮮のミサイル発射に対抗して、黄海上空で「武力示威行動」を実施。韓国軍から16機(F35とF15戦闘機)米軍から4機(F16戦闘機)の計20機が参加。

日米戦闘機6機が日本海上空で共同訓練。「北朝鮮による度重なる弾道ミサイル発射」などへの対抗措置。(防衛省)

米韓、「拡大抑止力と連合防衛態勢」の強化を確認。ウェンディ・シャーマン米国務副長官と趙賢東(チョ・ヒョンドン)外務第1次官との会談で。シャーマンはソウルでの会談後の記者会見で、北朝鮮に対して「挑発的行動」をやめて「外交の道」を選ぶよう求めた。

6月8日 国連安保理の対北朝鮮制裁強化決議案に拒否権行使の中ロに説明を求める国連総会開催。中国の張軍国連大使は、朝鮮半島情勢が緊迫したのは、米国がこれまで対話の成果を保持せず、北朝鮮の合理的な懸念を無視したことに主に起因すると指摘した。米国ができることは、北朝鮮に対する制裁の一部緩和や合同軍事演習の中止などたくさんあるが、重要なのは口先で「無条件の対話」を呼びかけるだけではなく、行動することであると主張した。  ロシアのアンナ・エフスティグニーワ国連大使代理は、北朝鮮問題に真剣に取り組んでいる人であれば、制裁の脅しをかけても北朝鮮に無条件で武装解除を飲ませることはできないことをずっと前から理解していると述べ、拒否権行使を正当化した。  北朝鮮の金星(キム・ソン)国連大使は「平壌への制裁圧力の強化は無駄なだけでなく、人道的な影響を及ぼす可能性があり、非常に危険だ」と述べるとともに、米国が提案したこの決議案は「国連憲章の精神と国際法に反する違法行為」「北朝鮮の主権と、生存、発展する権利を奪おうとする米国の不法な敵対行為の産物」であると主張した。およそ80か国が演説を行った。

朝鮮労働党中央委員会第8期第5回総会拡大会議を開催(8日〜10日)。拡大会議には、①組織問題、②政策実行状況の中間総括と対策、③防疫問題、④党規約などの修正といった議案が上程された。対米関係については、金正恩総書記は自衛権は国の主権を守るためのものであり、そのために「強対強・正面突破の闘争原則」を堅持しなければならないと改めて強調した。また、対米交渉に通じた崔善姫(チェ・ソンヒ)第1外務次官が外相に任命された。女性の外相は北朝鮮では初。

ソウルで日米韓外務次官級協議。共同声明で「北朝鮮による度重なる違法な弾道ミサイル発射を強く非難」し、北朝鮮に対して「朝鮮半島の完全な非核化に向けた対話に関与」するよう求めた。また、「拡大抑止を含め、韓国及び日本の防衛への米国の強固なコミットメントを再確認」。

6月11日 シンガポールで日米韓防衛相会合、共同声明で共同訓練を含む日米韓の連携強化を確認。また「核を含む米国のあらゆる能力に裏打ちされた、日本及び韓国の双方に対する確固たる同盟のコミットメント」を確認した。

6月13日 ワシントンDCで開かれた米韓外相会談で、北朝鮮が核・ミサイル開発を継続する限り軍事的・経済的圧力を続ける方針で一致、「拡大抑止」の強化も確認。米国のブリンケン国務長官は「目標は地域と世界の平和と安定だ。北朝鮮が方針変更するまで圧力をかけ続ける」と述べ、韓国の朴振(パク・チン)外相は、北朝鮮が核実験をすれば抑止力強化と国連制裁で応じると表明した。

6月21日
韓国の権寧世(クォン・ヨンセ)統一相、過去の南北合意は遵守と発言。北朝鮮による「挑発」は監視しつつも、北朝鮮の反応を待たずに積極的に対話を進め、「いつでもどこでも」喜んで会うと述べた。

韓国、国産ロケット「ヌリ号」を打ち上げ、人工衛星の軌道投入に成功。韓国は1トン以上の人工衛星打ち上げ能力を持つ国として、日米ロ仏中印に次ぐ7番目の国になった。なお、人工衛星発射技術はICBMに転用可能で、北朝鮮は安保理決議で弾道ミサイルだけでなく人工衛星の発射も禁止されている。

バイデン政権、国際法違反の対人地雷の使用は朝鮮半島だけに限定すると発表。全世界における対人地雷の使用を認めたトランプ前政権の方針を撤回し、オバマ政権時代の方針に戻した。対人地雷を保有する韓国の方針を米国が容認したかたち。なお、南北朝鮮と米国は対人地雷条約に加盟していない。

核兵器禁止条約第1回締約国会議開催(21日~23日)。会議で採択された「ウィーン宣言」では、「核抑止ドクトリン」を誤った考えであると真正面から否定した。

日米両政府、米国ジョージア州で開かれた「日米拡大抑止協議」で「拡大抑止を維持及び強化する方策」を議論(21日~22日)。外務・防衛両省の高官が参加し、米国から核態勢見直し(NPR)の説明などを受けた。

朝鮮労働党中央軍事委員会第8期第3回拡大会議開催(21日~23日)。朝鮮人民軍前線部隊の作戦任務に「重要軍事行動計画」を追加、国の戦争抑止力をよりいっそう拡大、強化するための軍事組織改編案を批准した。2022年4月に行なわれた軍事パレードでの演説で、金総書記は「戦術核」の実戦使用を示唆しており、聯合ニュースなどのメディアは、「重要軍事行動計画」について、戦術核を最前線に配備し、運営する任務を与えた可能性を指摘した。

6月23日
BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)首脳、オンライン会談の共同声明で外交による朝鮮半島の完全な非核化を支持。
共同声明(第14回BRICS首脳会議北京宣言)抜粋
我々は朝鮮半島の完全な非核化を含む、朝鮮半島に関わるすべての問題を解決するための二国間及び多国間による交渉および北東アジアにおける平和と安定の維持に対する支持を表明する。我々は、事態の包括的、平和的、外交的及び政治的解決へのコミットメントを再確認する。

6月25日
朝鮮戦争開戦記念日の反米集会を開催。朝鮮中央通信は26日、平壌で朝鮮労働党幹部が出席して反米集会が開かれたと伝えた。北朝鮮は6月25日を「米帝反対闘争の日」としており、2017年までこの日に合わせ集会を開いてきたが、米国や韓国との対話にかじを切った18年からは集会の開催は伝えられていなかった。

6月26日
北朝鮮外務省、米国は対話を呼びかけつつ、日韓とアジア版NATOを築こうとしていると批判。北朝鮮外務省はウェブサイトに表示した声明で、米国の言う「外交的関与」と「前提条件なしの対話」は偽善に過ぎず、我々の体制を軍事力で打倒するという米国の野望は変わらないと述べるとともに、この現実がより強い軍事力開発の必要性を感じさせていると主張した。

6月28日
G7、エルマウ首脳コミュニケで北朝鮮を非難。
コミュニケは、北朝鮮によるICBMを含む弾道ミサイルの発射実験を強く非難し、大量破壊兵器及び弾道ミサイル計画の完全な放棄を求めるとともに、全ての国に対し 、安保理決議を完全に履行し、北朝鮮の制裁回避行為に対する警戒を怠らないよう求めた。

6月29日 日韓首脳、NATO首脳会議に初出席。会議では12年ぶりに改訂されたNATOの戦略概念が発表され、北朝鮮やイランの核・ミサイル開発などが不拡散体制を崩し、安全保障環境に否定的な影響を与えていると評価した。

日米韓首脳会談、5年ぶりに開催。北朝鮮の核ミサイル開発の進展が東アジアと国際社会に深刻な脅威になるという認識を確認。米国の日韓に対する「核の傘」を含む「拡大抑止」の強化や、日米韓の安保協力を進める方策を緊密に協議していくことで合意した。

7月2日
北朝鮮外務省のチョ・チョルス国際機構局長、エルマウ・サミットでの北朝鮮非難(6月28日参照)に反論。北朝鮮の国防力強化は、「世界最大の核保有国であり、国際平和と安全の破壊者である米国の威嚇からわが国家の国権と国益を守るため」の「合法的な自衛権行使」にあたり、G7の非難は「根拠のない言いがかり」であると反論した。(朝鮮中央通信2日)

7月3日 北朝鮮外務省報道官、日米韓の軍事的連携強化に反発。NATO首脳会合が、北朝鮮の「自衛権」に「言いがかり」をつけたと反発するとともに、最近のNATO諸国や日韓の軍拡路線を非難し、「米国と追随勢力の無謀な軍事的策動によって欧州とアジア太平洋地域で核戦争が同時に勃発しかねない危険な状況が生じている」と指摘。(朝鮮中央通信、22/7/3)

7月4日 韓国統一相、 南北共同声明(1972年)から50周年の記念式典で、尹政権は歴代政権の全ての合意を尊重すると表明。その基本を守りながら、持続可能な南北関係発展の新たな道を開くとした。

7月5日 米韓合同軍事演習始まる(~14日)。韓国国防省は「韓米同盟の強力な抑止力と連合防衛態勢を示し、韓米空軍の相互運用性も向上させる」ためと説明。アラスカ州アイルソン空軍基地所属のF35 などが参加。朝鮮半島周辺で米空軍所属のF35の飛行が伝えられるのは、2017年12月に行われた米韓合同訓練「ビジラント・エース」以来のこと。

7月6日 韓国の尹大統領、全軍主要指揮官会議で、北朝鮮が挑発すれば直ちに懲罰を与えるよう軍に命令。韓国独自の防衛態勢として「3軸体系」を強化すると表明。3軸体系は、北朝鮮のミサイル発射の兆候を察知し破壊する先制攻撃「キルチェーン」、発射されたミサイルを上空で迎撃する「韓国型ミサイル防衛」、攻撃を受けた場合に北朝鮮指導部などへ報復する「大量反撃報復」から成る。

韓国国防省、「戦略司令部」創設を発表。陸軍、海軍、空軍がそれぞれ持つ戦略兵器の運用の一体化を図り、対地攻撃に使う弾道ミサイルや迎撃用ミサイル、最新鋭ステルス戦闘機F35A、偵察衛星などを統合的に運用する組織をめざすとみられる。

韓国の脱北者団体「自由北韓運動連合」、北朝鮮に向け薬やマスクと共に金正恩を批判するポスターを付けた大型風船を飛ばしたと発表。

7月8日 G20外相会合(バリ)を機に尹政権発足後初の日米韓外相会談。

7月10日 韓国軍合同参謀本部、北朝鮮が黄海に向け発射した連装ロケット砲の航跡を捕捉したと発表。11日にも発射された。7月初めに始まった北朝鮮軍夏期演習の一環と見られる。

7月11日 北朝鮮外務省、日米韓の軍事的連携強化を非難する学者の寄稿文をウェブサイトに掲載。核戦争勃発を警告。北朝鮮の国際政治研究学会のイ・ジソン氏は、朝鮮半島やその周辺で米軍の核戦略部隊を投入した合同軍事演習が行われれば、北朝鮮の「応分の対応措置を誘発」することになり、「小さな偶発的衝突」も「容易」に「核戦争に」つながりかねないと指摘。

7月12日 北朝鮮外務省、米軍の電子偵察機RC135S(コブラボール)などが朝鮮半島周辺でスパイ行為をしたと非難。琉球新報によると米軍の弾道ミサイルの観測能力を持つRC135Sなどが嘉手納基地に飛来したことに反応したものとみられる。

韓国統一部、2019年11月に日本海で拿捕した北朝鮮船舶に乗っていた殺人容疑の男2人を北朝鮮に強制送還した際の写真を公開。7月18日には動画も公開された。2人は亡命の意思を示していたこともあり、文在寅前政権の強制送還の対応は不適切であったという観点から公開したとみられる。文政権は、16人の同僚船員らを殺害した容疑者であることを理由に北朝鮮側に引き渡していた。

7月13日 北朝鮮がドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の独立を正式に承認。ロシア、シリアに次いで3か国目。これを受けてウクライナは北朝鮮との国交を断絶した。

7月15日 韓国、ステルス戦闘機F35Aを2028年までに20機追加購入すると発表。韓国は2022年1月にも、同型機を40機米国から購入している。

7月18日 日韓外相会談(東京)。北朝鮮の核の脅威に対して両国が協力することで一致。

米財務長官、北朝鮮の核実験に警告。核実験を行えば大変な挑発であり、北朝鮮に対するさらなる制裁の余地があると述べる。

7月19日 韓国統一部、2021年に韓国入りした脱北者は63人と発表。脱北者の数は2019年までは1000人を超えていたが、新型コロナ感染への対策のため中朝国境を統制したことが影響したとみられる。聯合ニュースによると、2022年6月時点で韓国には脱北者33,834人が居住している。

韓国国産の次世代戦闘機「KF-21」が初の試験飛行に成功。

7月20日 米誌「ウォール・ストリート・ジャーナル」、米国防総省戦略司令部の会議で北朝鮮の核保有を前提として「核抑止力の強化」に優先順位を置くべきとの議論が優勢と報道。

7月21日 米空軍の電子偵察機RC135V(リベット・ジョイント)が沖縄の嘉手納基地を出発し黄海上空を飛行。北朝鮮による7回目の核実験が懸念される中、米偵察機が朝鮮半島周辺を頻繁に飛行している。

7月22日 韓国国防省、文政権下で規模を縮小していた定例の8月の米韓合同軍事演習を「正常化」させて行うと発表。コンピューター・シミュレーション中心の合同指揮所演習に加えて、これまで控えてきた野外実動訓練も再開させる。名称は「ウルチ・フリーダム・シールド」に変更。

北朝鮮外務省、公式ウェブサイトで8月に予定の米韓合同軍事演習を非難するインタビュー記事を掲載。インタビューは、朝鮮外務省軍縮・平和研究所のチェ・ジン副所長がAP通信系のAPTNと行ったもので、米韓合同軍事演習が「我々に核先制打撃を加えるための実戦演習になることは火を見るより明らか」と非難し、「我々との軍事的対決を選択するなら、かつて体験したことのない甚大な安保不安に直面するだろう」と牽制。(毎日新聞、22/7/24)

7月25日 朴振韓国外相、公聴会で、高高度ミサイル防衛網(THAAD)配備は韓国の安全保障と主権の問題だと発言。文在寅前大統領が2017年10月に表明した「三不の誓い」(①THAADの追加配備はしない、②米国のミサイル防衛(MD)体制に加わらない、③日米韓を軍事同盟にしない)は中国に対する誓約でも中韓合意でもなく、韓国の立場を表明したに過ぎないとの見解を示し、中国は「三不の誓い」を主張するのではなく、北朝鮮の非核化を実現するために建設的な役割を果たすべきだと主張。 韓国国防相、北朝鮮が保有する核兵器に利用可能な核物質が過去5年間で10%増えたと国会で答弁。

在韓米軍、非武装地帯近くのロドリゲス演習場でアパッチ攻撃ヘリによる実弾射撃演習を3年ぶりに実施。

7月26日 中韓の北朝鮮担当高官が電話協議、尹大統領が就任演説で表明した北朝鮮への「大胆な計画」を説明。

韓国外相、北朝鮮が核実験を実施した場合は、北朝鮮のサイバー攻撃能力を制限するような制裁を加えると表明。

7月27日 金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記、朝鮮戦争の休戦69周年の演説で米韓を非難。 戦勝69周年記念行事で行った演説(抜粋) 「祖国解放戦争の時期から核の威嚇をためらいもなく加えてきた米国と鋭く対峙してきた朝鮮革命のこれまでの歴史的環境は、何よりもまず、わが国家の自衛力を相応の水準に引き上げることを求めたし、われわれは困難な闘争を通じてこの切実な歴史的課題を実現した。……わが民族の現代史に最も重大な危害を及ぼした米国は、今日もわが朝鮮民主主義人民共和国に対する危険な敵対行為を中止していない。」 「すでに私は、国家の安全を確実に保証するためには、対話にも対決にも全て準備していなければならず、特に対決には一層手抜かりなく準備していかなければならないと言明した。……米帝国主義とは思想でもって、武装でもってあくまで立ち向かわなければならない。共和国は、アメリカとのいかなる軍事的衝突にも対応しうる徹底した準備ができていることを今一度確言する。」 「わが共和国政府はこの機会を借りて、力に対する不正常な強欲や過信に陥って狂乱し、米国の対朝鮮敵視政策の実行に奔走している韓国の保守「政権」と好戦分子にも厳重に警告したい。……今年、政権についた韓国の保守「政権」は、歴代のどの保守「政権」をもしのぐ極悪非道な同族対決政策と事大主義的売国行為を追求し、朝鮮半島情勢を戦争の瀬戸際に追いやっている。……彼らは「力による平和」と「力による安保」を公然と唱え、わが国家の戦争抑止力を無力化させる「先制打撃」も辞さないとうそぶいている。……韓国は、いわゆる「韓国型3軸システム」という概念を確立して中心となる戦闘能力を増強すると騒ぎ立てているが、韓国はわれわれに比べた軍事的劣勢を宿命的なものとして受け入れざるを得ず、いつまで経っても絶対に挽回することはできないであろう。……そのような危険な企図は即刻強力な力によって罰せられるであろうし、尹錫悦「政権」と彼の軍隊は全滅するであろう」 「今われわれの武装力はいかなる危機にも対応しうる万端の準備ができており、わが国家の核戦争抑止力もまた絶対的な自らの力をその使命に忠実に、確実に、迅速に動員しうる万全の態勢を整えている。……わが共和国政府は、ますます強くなる徹底した軍事力と透徹な反帝反米・対南対敵精神をもってわが国家と人民、われわれの自主権を鉄のごとく守り抜くであろう。」(朝鮮中央通信、2022/7/28) 趙立堅中国外務省報道官、25日の朴振外相の発言に反論。「『THAAD』問題に関する2017年の韓国側の厳粛な声明は、両国間の相互信頼を高め、協力を深めるために重要な役割を果たしてきた」と述べ、韓国政府に対して前政権を踏襲し、「隣国の安全に関わる重大で敏感な問題」について「慎重」に行動するよう求める(中国国際放送局、22/727)。中国の劉暁明朝鮮半島問題特別代表もツイッターで韓国に慎重な行動と現状維持を求め、韓国へのTHAAD配備は米国が意図的に中国の安全を掘り崩そうとするものだと主張した。

7月29日 日米外相会談(ワシントン)。「日米同盟の抑止力・対処力」強化を再確認し、「日米拡大抑止協議の実施を歓迎し、米国による拡大抑止の信頼性・強靱性を引き続き確保する観点から、今後とも様々なレベルで緊密な意思疎通を続けていくこと」や、「安保理決議に沿った北朝鮮の完全な非核化に向け、引き続き日米、日米韓で緊密に連携していくこと」などで一致(外務省)。

米韓国防相会談(ワシントン)。米韓同盟を強化、米韓合同軍事演習の規模拡大などについて確認。「拡大抑止戦略」の強化に向けた協議開催も決定。

赤十字国際委員会(ICRC)が年次報告書で、北朝鮮に対する支援が新型コロナウィルス感染拡大の影響で事実上中断していると明らかにした。

8月1日 NPT再検討会議が開幕(~26日)。一般討論演説で、日米韓などが北朝鮮の核開発を非難。

8月3日 北朝鮮国連代表部、NPT再検討会議で日米などが北朝鮮の核開発を非難したことに対して反論。北朝鮮は「NPTから合法的に脱退」しており、「いずれの国家にも、NPT外の核保有国である北朝鮮の自衛権行使について非難をする権利も正当性もない」と主張。オーストラリアへの原潜開発支援やイスラエルの核保有黙認などを例に挙げて、NPTの「条約上の義務に違反」し、「核拡散防止制度の根幹を揺るがしている張本人」は米国だと非難した。(朝鮮中央通信、22/8/4)

国連安保理北朝鮮制裁委員会(専門家パネル)が安保理に報告書案を提出。ロイター通信や日本経済新聞によると、6月末までに北朝鮮が核実験の準備を終えたとみられることや、サイバー攻撃によって北朝鮮が数億ドル相当の暗号資産を窃盗したとの見方などが記載されている。

北朝鮮外務省報道官、ペロシ米下院議長の台湾訪問を非難。台湾問題に対するいかなる外部勢力の干渉も「強く非難」し、中国を「全面的に支持」すると表明。

8月4日 ペロシ米下院議長、金振杓(キム・ジンピョ)韓国国会議長と会談。共同声明で北朝鮮に対する「強力な拡大抑止力」を「基礎」に、「国際協力と外交対話」を通じて「現実的な非核化と平和」を実現するための米韓両政府の取り組みを支援することで合意したと発表。

ペロシ、軍事境界線にある板門店の共同警備区域(JSA)を訪問。尹錫悦はペロシとの電話会談で「韓米の強力な対北朝鮮抑止のしるしになる」と訪問を歓迎した。

8月6日 北朝鮮外務省、板門店訪問のペロシを批判。チョ・ヨンサム外務省報道局長が談話を発表し、ペロシが韓国訪問中に北朝鮮に対する「強力な拡大抑止力」の支持を表明し、板門店のJSAまで訪れたことによって、現在の米国政府の「対北朝鮮敵視政策を完全にさらけ出した」と述べた。

8月8日 日米韓、北朝鮮の弾道ミサイルの探知・追尾の共同訓練「パシフィック・ドラゴン」を実施(~14日)。訓練は、「環太平洋合同演習(リムパック)」の終了後に行われ、オーストラリア軍やカナダ軍も参加。

8月9日
北東アジア非核兵器地帯条約推進国際議員連盟(P3+3)が発足。連盟が実現を目指す条約案は、日本・韓国・北朝鮮の3か国が非核兵器地帯を構成し、核保有国の米国・中国・ロシアが域内への核攻撃や核による威嚇をしないことを約束する内容で、日韓の国会議員9人が長崎で設立した。韓国は与野党の国会議員が参加し、日本からは立憲民主党とれいわ新選組の議員が参加。

グテーレス国連事務総長、ウランバートル対話イニシアチブなどによる朝鮮半島の非核化にむけたモンゴルの貢献を歓迎。広島・長崎訪問後に訪れたモンゴルで。グテーレスはまた、各国が非核兵器地帯地位のモンゴルに倣って核兵器のない世界の実現に向けて行動するよう希求すると述べた。

中韓外相会談(青島)。朝鮮半島の非核化に関して、韓国の朴振外相は、中国が建設的な役割を果たし、北朝鮮に対して対話を促すよう求めた。また両国の懸案事項である韓国のTHAAD配備の問題については、双方の安全保障上の懸念に注意を払い、中韓関係の障害にならないよう努力するという認識で一致した。

国際海事機関(IMO)、北朝鮮がミサイル発射の事前通知義務を守らないことに関して監査を行うと発表。北朝鮮は2019年までは通知義務を遵守していたが、以降は事前通知を怠っている。

8月10日
北朝鮮が新型コロナウィルスの撲滅を宣言。

金与正朝鮮労働党副部長、新型コロナウィルスを流入させた韓国に対して「致命的な報復」が必要と主張。韓国を「不変の主敵」と称し、もし韓国が北朝鮮に対してウィルスが流入しかねない危険な行為を続けるなら、「ウイルスだけでなく、韓国当局も撲滅する」と警告。(朝鮮中央通信、22/8/11)

8月11日
韓国統一部、北朝鮮に新型コロナウィルスを流入させたのは韓国だという金与正の主張には根拠がないと反論。

8月12日
グテーレス国連事務総長、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領との会談で「朝鮮半島──特に北朝鮮──の完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」への「完全な支持」を表明。非核化に向けた対話の歩みを開始させるために行われることは全て国連の支持と歓迎を受けるだろうと述べる。

8月13日
韓国ソウルで米韓合同軍事演習中止と在韓米軍撤退を求める大規模集会。主催した全国民主労働組合総連盟が約6000人の組合員を動員した。

8月14日
北朝鮮外務省の国際機構担当次官、CVID支持を表明した国連事務総長を非難。北朝鮮に「一方的武装解除」を求めるCVIDは「主権侵害行為と同様」であり、それに支持を表明することは「公平さと公正さ」を「甚しく欠く」だけでなく、「国連憲章に明記された職務上の義務にも反する」と主張し、国連が米国の対北朝鮮敵視政策に同調していると非難。また北朝鮮の核保有は「米国の対北朝鮮敵視政策と核脅威・恐喝から国家と人民の安全を守り、自主的発展を保証するための不可避な選択」であり、「世界最大の核保有国であり、世界の唯一無二の核犯罪国である米国が……対北朝鮮敵視政策を完全かつ不可逆的に放棄しない限り、朝鮮半島の恒久的な平和と安定を保障することができない」という北朝鮮政府の立場を改めて表明した。(朝鮮中央通信、22/8/14)

8月15日
尹錫悦大統領、光復節式典の演説で、北朝鮮が非核化に応じた場合に大規模な支援を行う「大胆な構想」を発表。北朝鮮が「核開発を中断し、実質的な非核化に転換」すれば、段階に応じて、食糧支援、電力インフラ支援、港湾・空港の近代化、農業生産性向上支援、病院・医療インフラの近代化、国際投資・金融支援など6つの分野で大規模な支援を行うと表明。

8月16日
韓国ソウル中央地検、2020年に北朝鮮に越境の韓国人を北朝鮮軍が射殺した事件に関する捜査で、前政権高官宅を一斉に捜索。検察は、射殺された韓国人男性が自ら北朝鮮に越境したという文政権の判断と整合させるために、報告書を改竄した疑いがあるとみて捜査している。

米軍、ペロシ下院議長の台湾訪問で中国の誤解を避けるために延期していたICBMミニットマン3の発射実験を実施したと発表。

8月17日
韓国軍参謀本部、北朝鮮が平安南道温泉から黄海に向けて巡航ミサイル2発を発射した模様だと発表。

尹錫悦、北朝鮮が非核化に向けた「決意」を見せれば、「段階に応じて可能な支援ができる」と述べる。大統領就任100日の記者会見で、尹は「大胆な構想」について、北朝鮮が先に全て非核化すれば支援するということではく、北朝鮮が非核化に向けた決意さえ示せば支援を行う用意あると明言した。また会見で尹は、現政権に独自の核抑止力を追求する計画はなく、韓国は武力による北朝鮮の体制転換も望んでいないと述べ、北朝鮮に対して南北間の対話に応じるよう求めた。

米韓統合防衛対話の共同声明で、北朝鮮が核実験をすれば、東アジアに「米国の戦略資産を展開する選択肢も含めて」、米韓の「強力かつ確固とした対応」を取ると明言。声明では「北朝鮮の脅威」を念頭に、米韓による合同軍事演習の強化や米韓両軍の「即応体制」の強化などについても確認した。

8月18日
金与正朝鮮労働党副部長、「光復節」演説で尹錫悦提案の「大胆な構想」を罵倒し拒絶。「大胆な構想」は南北関係を悪化させた李明博政権の「『非核・開放3000』のコピー」であり、「北の非核化」を前提にしている時点で間違いだと指摘。「我々の国体(our honor)である核」を「経済協力」などと引き換えることができると考えているなら幼稚だと述べて尹を酷評し、北朝鮮にかまう暇があるなら内政に集中すべきだと主張。そして「大胆な構想」を発表した直後に米韓合同軍事演習を実施するような尹政権のことは今後も「絶対に相手しない」と断言した。また17日の巡航ミサイル試射の発射地点は平安南道安州市だと述べて韓国政府の発表が誤りであったことを指摘し、韓国監視体制はミサイルの発射地点もまともに把握できないと揶揄した(朝鮮中央通信、22/8/19)

8月19日
米韓外相電話会談。朝鮮半島の完全な非核化に向けた協調的な努力への支持を表明。

フランスが中心となり、米英独日韓など合計79か国(8月19日現在)が北朝鮮の核・ミサイル開発を非難する声明を発出。第10回NPT再検討会議の場を利用して発出された。声明は、北朝鮮による安保理決議の継続的な違反行為に深い懸念を示し、北朝鮮に核開発の停止を要求し、日米韓の対話の呼びかけに応じるよう求めるとともに、北朝鮮にNPT上の核兵器国の地位を与えないことを再確認している。

8月22日
米韓合同軍事演習「ウルチ・フリーダム・シールド」を実施(~9月1日)。指揮所演習に加え、野外演習も実施。旅団級を含む大規模な野外機動演習は4年ぶり。合同演習では、北朝鮮の攻撃撃退とソウル広域圏の防衛訓練に加え、北朝鮮への反撃作戦も行われた。今回初めて韓国軍将校が合同演習の全日程を指揮し、戦時作戦統制権(OPCON)の韓国移管に向けたプロセスが一歩前進した。また、韓国単独で4日間の民間防衛演習「ウルチ」も実施した。

米韓合同演習に反対する市民がソウルで集会を開く。韓国の平和的統一創設者、「6・15共同宣言」韓国実行委員会、他の多くの民間団体は、ソウルの戦争記念館の前で抗議集会を開き、韓米両国に合同軍事演習の中止を呼びかけた。

尹錫悦大統領、ソウルの軍事施設を訪れ「現実味を増してきた北朝鮮の核・ミサイルの脅威」に対処するため軍の作戦計画をアップデートするよう指示。また、いわゆる「キルチェーン」先制攻撃システムの導入を早めるよう司令官に命じた。

8月24日
ロシア外務省、米韓合同軍事演習は「逆効果で危険」だと非難し、中ロ主導の対話を呼びかける。ロシアのマリア・ザハロワ報道官は、大規模な米韓合同軍事演習の再開などにより、緊張化しつつある朝鮮半島情勢を懸念していると述べて、米韓の行動は「逆効果で危険」だと主張した。また、ロシアは、地域内の問題を平和的、外交的手段によって解決することを支持すると述べ、「地域の全関係国の正当な国益を保証する、平和と安全保障システムを構築するため」「中ロが示したイニシアティブに基づく政治対話の開始」を改めて呼びかけた。

韓国の李信和(イ・シンファ)北朝鮮人権国際協力大使、脱北者送還を停止するよう中国政府に外交圧力をかけるべきと主張。 中朝国境が再び開かれれば、多くの難民が強制送還に直面する可能性があり、それを防がなければならないとも述べた。文在寅政権下では、北朝鮮への配慮から同大使は空席だったが、2022年7月19日、5年ぶりに任命された。

8月25日 米国務省、中国が韓国に圧力をかけてTHAADを放棄させるのは不適当と発言。THAADは北朝鮮が保有する大量破壊兵器とミサイルの脅威から韓国、市民、同盟の戦力を守るためのものと説明した。記者の質問に答えて。

8月26日
第10回NPT再検討会議がロシアの反対で決裂、最終合意文書を採択できず。

8月30日
韓国政府、予算編成で北朝鮮への先制打撃力の強化を打ち出す。前年比4.6%増、約5兆8700億円の2023年度国防予算を発表。3軸体系関連予算は前年比9.4%増。

北朝鮮の対韓国窓口機関・祖国平和統一委員会、米韓合同軍事演習は、2018年の南北軍事分野合意に違反と主張。

9月1日
申範澈(シン・ボムチョル)韓国副国防相、北朝鮮の核問題と不拡散体制に対する最大の課題は中露が対北朝鮮制裁に後ろ向きなことであると発言。AP通信とのインタビューで。

日米韓の国家安全保障担当高官が会談(ホノルル)。秋葉剛男国家安全保障局長、ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)、金聖翰(キム・ソンハン)国家安保室長が協議を行い、北朝鮮が核実験をした場合、厳しい対抗措置をとることで合意した。

9月4日
北朝鮮の国際政治研究学会が米韓合同軍事演習を批判する報告書を発表。
報告書は、朝鮮戦争休戦以降の米韓合同軍事演習を詳細に分析し、軍事演習が南北関係と東アジア情勢に悪影響を及ぼしたと断定。また、米国の対北朝鮮敵視政策と軍事的威嚇によって朝鮮半島は常に核戦争の瀬戸際にあり、「戦争抑止力こそ、平和と安定を守り、戦争を防止する唯一の最も頼もしい手段」だと主張している。(朝鮮中央通信 22/9/4)

9月6日
米国務省、ロシアが北朝鮮からロケット弾や砲弾を数百万発調達する協議を行っていると主張。
ただし、購入には至っておらず、ウクライナで使用されたという情報もないと説明した。

9月7日
韓国国防相、北朝鮮が「新しい道を選べば得られる恩恵は無限だ」と述べて非核化を促す。
一方で、核・ミサイル開発を続ければ大きな対価を支払わなければならないことを北朝鮮に認識させるための努力を国際社会に求めた。

IAEA、年次報告で、核活動継続の北朝鮮に「深刻な懸念」を表明。

米国、ICBMミニットマン3の発射実験。ICBMは米国バンデンバーグ宇宙軍基地から発射され、ICBMに搭載された再突入体が約6800km先のマーシャル諸島クワジェリン環礁に計画通りに着水した。

9月8日
北朝鮮の最高人民会議、「核戦力政策に関する法令」を公布。
法令は、戦争抑止を核戦力保有の「基本使命」と規定した上で、戦争抑止が失敗した場合には、核戦力は敵の侵略と攻撃を撃退するための「作戦的使命」を果たすと明記した。敵対勢力による軍事攻撃が差し迫っている場合や国家存立の危機を招く事態が発生した場合などを核兵器使用の条件として掲げ、核兵器を用いた先制攻撃も容認した。また、核兵器を「米国の敵視政策と核の脅威に対抗」するための「防衛手段」と位置付け、「世界が非核化されるまでの間」の「任務」と規定していた法令「自衛的核兵器国の地位をいっそう強固にすることについて」(2013年4月)を無効とした。
 金正恩は同日の施政演説で、核政策の法制化によって「我が国家の核保有国としての地位は不可逆的なもの」になったと述べて、今後、北朝鮮が先に非核化することは有り得ず、その如何なる交渉にも応じるつもりはないと明言した。また、金正恩は北朝鮮の核兵器は米国の侵略に対する抑止力であることを改めて強調し、米国政府の狙いは北朝鮮の非核化だけでなく、「自衛権行使力まで放棄または劣勢に追い込んで我が政権をいつかは崩壊させること」にあると指摘して、核保有国の米国と対抗するために「絶対に核放棄はできない」、「地球上に核兵器が存在し、帝国主義が残っており、米国とその追随勢力の反共和国策動が続く限り、我々の核戦力構築の旅は終わることはない」と述べた。

権寧世(クォン・ヨンセ)韓国統一相、離散家族再会に向けた協議を北朝鮮に提案。2022年8月末時点の韓国側の再会申請者は13万3654人で、うち存命者は4万3746人。そのうち80歳以上が3分の2を占める。

9月9日
グテーレス国連事務総長、北朝鮮が核の先制使用を明記した国内法を制定したことに深い懸念を表明。
また、グテーレスは、持続可能な平和と朝鮮半島の完全かつ検証可能な非核化に向け、北朝鮮に対し主要な当事者との協議を再開するよう求めた。

9月13日
韓国国防省ムン・ホンシク報道官代理、北朝鮮が核兵器を使おうとすれば、韓米同盟の圧倒的な対応に遭い、北朝鮮指導部が自滅への道を歩むことになると警告。
韓国軍は北朝鮮が「核戦力政策に関する法令」を制定したことに驚いていないと述べるとともに、北朝鮮が核実験を行った場合、「適切な対抗措置」を取ると述べた。

9月15日
日朝平壌宣言20周年を前に、北朝鮮の宋日昊(ソン・イルホ)国交正常化交渉担当大使が「日本が宣言を白紙にした責任を負うべき」との談話を発表。
談話は、日本は平壌宣言を「拉致・核・ミサイル問題の解決」のためのものに歪曲し、終始一貫、自らの不純な政治目的実現のために悪用したと指摘するとともに、朝日関係が今後、どの方向へ進むかは日本政府の態度にかかっていると主張した。

9月16日
米韓、外務・国防次官級による「拡大抑止戦略協議体」会合を開催。
協議後に出された共同声明は、北朝鮮の「核戦力政策に関する法令」制定などに「深刻な懸念」を表明した。また、米国が核兵器に加えて、ミサイル防衛システムや他の高度な通常兵器を含むあらゆる軍事力を活用して韓国に「拡大抑止」を提供するという揺るぎないコミットメントを再確認するなど、米韓同盟による抑止力強化に強い意志を示した。さらに、北朝鮮の核攻撃には「圧倒的かつ断固とした対応」をとるとした。

9月19日
韓国軍合同参謀本部の金承謙(キム・スンギョム)議長、国会で「北朝鮮が核の使用を試みるなら、北朝鮮政権を生存させるシナリオはない」と発言。

9月21日
北朝鮮国防省、ロシアへの武器売却計画の存在を否定。
米国に対し、北朝鮮のイメージの悪化を狙ったデマを流すことをやめるよう警告。

米韓大統領、国連総会の場を利用して会談。米韓同盟の強化、及び「北朝鮮の脅威に対処」するための緊密な協力へのコミットメントを再確認。

9月22日
日米韓外相、ニューヨークで会合し、共同声明で北朝鮮のミサイル開発を非難し、北朝鮮の核戦力政策に関する法制定に懸念を表明。

9月23日
米原子力空母「ロナルド・レーガン」が韓国の釜山に寄港。
26日からの米韓合同軍事演習への参加が目的。米原子力空母が訓練のため韓国に寄港するのは2017年10月以来、5年ぶり。

韓国統一部の副報道官、金剛山にある韓国側の資産・金剛山文化会館が撤去されており、南北合意違反と強調。

9月24日
中国の王毅外相、国連総会で朝鮮半島の核問題解決のために対話と協議が重要であることを強調。
米朝双方が共に「段階的かつ同時的進展を堅持し」、朝鮮半島の平和と安定を維持することが必要であると述べた。

9月25日
朝鮮人民軍戦術核運用部隊、一連の軍事訓練を開始(~10月9日)。訓練終了直後の10月10日、朝鮮中央通信が発表。この日以降、7回にわたり断続的に弾道ミサイルなどを発射する。この日は、平安北道泰川(テチョン)付近から弾道ミサイル1発を発射した。米韓両軍は、ロシア製の「イスカンデル」に似た地対地ミサイル「KN23」の可能性が高いと分析し、飛行距離は約600キロ、最高高度は約60キロと推定。しかし朝鮮中央通信(22/10/10)は、北朝鮮北西部の貯水池の水中発射場からの模擬戦術核搭載SLBMであったと発表。

北朝鮮の弾道ミサイル発射について、日米韓の北朝鮮問題担当高官が個別に電話会談。米国務省報道官によると、米国のソン・キム特別代表は、日韓の防衛に対する米国のコミットメントを再確認するとともに、北朝鮮に対し依然として対話の道が開かれていることを強調した。

9月26日
日本海で原子力空母を交えた米韓共同訓練を5年ぶりに実施(~29日)。
米原子力空母「ロナルド・レーガン」打撃群や韓国のイージス駆逐艦など約20隻の艦艇と、哨戒機、F15戦闘機などが参加。

北朝鮮の金星(キム・ソン)国連大使、国連総会での一般討論演説で、米韓合同軍事訓練を非難するとともに、自らの核戦力政策の法制化を正当化。

中国の丹東から北朝鮮へ向け5か月ぶりに貨物列車が運行を再開。

9月27日
韓国政府、IAEA総会の演説で北朝鮮の核開発は国際的な核不拡散体制への挑戦と非難。
北朝鮮の非核化と朝鮮半島の平和への韓国の努力に支持を要請。

9月28日
北朝鮮、平壌郊外の順安(スナン)周辺から日本海に向けて短距離弾道ミサイル2発を発射。韓国軍合同参謀本部は飛距離は約360キロ、最高高度は約30キロと推定。朝鮮中央通信(22/10/10)は模擬戦術核搭載の弾道ミサイルで、韓国の飛行場の無力化を想定したものと発表。

在韓米空軍の特殊作戦司令部(SOCKOR)、北朝鮮指導部の斬首作戦とも見られている「チークナイフ演習」の写真をフェイスブックで公開

韓国の国家情報院、国会の情報委員会で、北朝鮮が7回目の核実験に踏み切る場合、10月16日から11月7日の間に行う可能性があると報告。

9月29日
韓国訪問のハリス米副大統領、板門店(パンムンジョム)の非武装地帯(DMZ)を訪問。
北朝鮮では、「残忍な独裁政権、はびこる人権侵害、そして平和と安定を脅かす違法な核兵器計画が見られる」が、米韓の共通の目標は、「朝鮮半島の完全な非核化」であり、米国と世界は「北朝鮮の脅威がない安定した平和な朝鮮半島」を求めていると述べた。尹大統領とも会談。

北朝鮮、夜9時前、平安南道・順川(スンチョン)付近から日本海に向け短距離弾道ミサイル2発を発射。韓国軍合同参謀本部は飛距離が約350キロ、最高高度が約50キロと推定。朝鮮中央通信(22/10/10)は、「複数の種類の戦術弾道ミサイル」を発射し、設定標的を精密誘導兵器と上空爆発などを組み合わせて命中させる能力を実証する訓練であると発表。

9月30日
韓国の朴外相、北朝鮮の「挑発」に厳しく対応し、必要なら制裁強化を検討と述べる。
サイバー、金融分野など様々な分野を選択肢としてあげた。

英国外務省、「北朝鮮に対し、挑発行為をやめ、完全かつ検証可能で不可逆的な非核化にむけ具体的な取り組みを進めるよう促す」とする声明を発表。

日米韓、日本海の公海上で潜水艦を探知、追跡する対潜水艦戦訓練を実施。2017年に初めて行われて以来、5年ぶり。韓国海軍、「訓練は潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を含む北朝鮮潜水艦の脅威拡大に対応する能力を高めるため」とする声明を発表。

10月1日
北朝鮮、平壌・順安(スナン)付近から短距離弾道ミサイル2発を発射。韓国軍合同参謀本部によると飛距離が約350キロ、最高高度は約30キロと推定。朝鮮中央通信(22/10/10)は、「複数の種類の戦術弾道ミサイル」を発射し、設定標的を精密誘導兵器と上空爆発などを組み合わせて命中させる能力を実証する訓練であると発表。

韓国の脱北者団体、大型風船で金正恩批判のビラと新型コロナ対応の医薬品を北朝鮮に向けて飛ばす。

韓国の尹大統領、第74回「国軍の日」記念式典の演説において、韓国は米韓合同演習を一層強化し、北朝鮮の脅威に対応できる「行動する同盟(Alliance in Action)」を具現化すると述べる。

10月4日
北朝鮮、北西部の慈江道(チャガンド)舞坪里(ムピョンリ)付近から「火星12」と見られる弾道ミサイルを発射。
日本政府によるとミサイルは青森県の「上空」を通過し、飛行距離は約4600キロ、最高高度は推定1000キロ。北朝鮮が日本の上空を通過するミサイルを発射したのは、2017年9月15日以来。朝鮮中央通信(22/10/10)は、新型地対地中・長距離弾道ミサイルで日本列島を横切って4500キロ先の太平洋上の標的水域を打撃したと発表。
(解説)
日本政府は全国瞬時警報システム「Jアラート」で北海道や青森に発射情報を流したが、日本上空を飛来時は、大気圏外を飛行していたはずで、日本列島に物体が落ちてくることはないと推定される。また領空とは、領土・領海の上空で宇宙空間に至るまでの大気圏なので、飛行したのは日本の領空ではないことになる。

国連事務総長、北朝鮮の4日の中距離弾道ミサイル発射を非難

10月5日
米韓、4日の北朝鮮のミサイル発射への対抗措置として、地対地ミサイル「ATACMS」をそれぞれ2発、計4発発射。
米軍は米韓共同訓練参加(9月30日まで)の原子力空母ロナルド・レーガンを再び日本海に展開。

韓国軍、北朝鮮への対抗措置の一環として弾道ミサイル「玄武(ヒョンム)2」も発射するが、直後に韓国基地内に落下。

国連安保理、4日の北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けて緊急会合開催も中ロが反対し、一致した声明は採択できず。米国連大使は中ロが北朝鮮の「挑発行為を正当化している」と非難。中ロは直近の米韓合同軍事演習などを例に挙げ、米国や韓国が北朝鮮を挑発して緊張を高めていると主張して逆に米韓などを非難。会合後、安保理理事国9か国に日韓を加えた11か国が北朝鮮を非難する共同声明を発表。

10月6日
北朝鮮、平壌・三石(サムソク)付近から短距離弾道ミサイル2発を発射。防衛省によると、1発目は最高高度約100キロ、飛距離約350キロ、2発目は最高高度約50キロ、飛距離約800キロ。発射は国連安保理の緊急会合の閉会間際のタイミング。朝鮮中央通信(22/10/10)は、これらは超大型ロケット砲で、韓国の主要軍事指揮施設の攻撃を想定したと発表。

朝鮮人民軍西部前線長距離砲兵区分隊と西部地区空軍飛行隊の合同火力打撃訓練を実施。朝鮮中央通信(22/10/10)によると、合同打撃訓練は、敵の軍事基地を模擬した島の目標に対する空軍飛行隊の中距離空対地誘導爆弾および巡航ミサイル打撃と爆撃飛行任務を遂行したのに続いて、前線長距離砲兵区分隊が順次に火力打撃を加える方法で行われた。

韓国軍合同参謀本部、韓国軍設定の特別監視線周辺の北朝鮮上空を編隊を組んで飛行する北朝鮮の軍用機12機に対して、F15戦闘機など30機以上を緊急出動させて対応と発表。

日米韓のイージス艦3隻が日本海でミサイル防衛訓練を実施。

北朝鮮外務省、安保理緊急会合要請の米国などを非難。「米国と一部の追随国家が朝鮮半島の軍事的緊張を高める「韓」米連合訓練に対するわが軍隊の当然な対応行動措置を国連安保理に不当に上程させたことについて強く糾弾する」との声明を発表。米原子力空母が再度朝鮮半島に派遣されたことにも言及し、米国が「朝鮮半島とその周辺地域の情勢の安定に深刻な脅威を与える新たな展開を注視している」と述べ米国への警戒感を示した。

EU、北朝鮮の4日の中距離弾道ミサイル発射を非難する声明を発出。声明は、日韓との連帯を表明し、北朝鮮に対し、攻撃的で不安定な行動を止め、国際法を尊重し、関係する当事者との対話を再開するよう求めた。この目的のために、EUは有意義な外交プロセスを支援する用意があり、「朝鮮半島の完全で検証可能かつ不可逆的な非核化」を追求するための措置をとることに全力を傾けるとした。

10月7日
米韓の海軍、日本海で海上機動訓練を実施(~8日)。米空母「ロナルド・レーガン」も参加。

韓国国防省、星州(ソンジュ)配備の在韓米軍迎撃システム(THAAD)の性能を改善する装備を搬入したと発表。韓国国防相は、「北朝鮮のミサイルの脅威から国民を保護するもの」であり、「追加配備ではない」と説明。

米財務省、安保理決議違反を理由に北朝鮮に石油精製品を違法に輸出した疑いのある個人と企業を制裁対象に指定したと発表。制裁対象はシンガポール人と台湾人1人ずつのほか、マーシャル諸島を拠点とする海運会社「ニュー・イースタン・シッピング」など3企業。

日米韓の北朝鮮担当高官が電話会談。暗号通貨の盗難を通じた北朝鮮の核・ミサイルプログラムの資金調達を阻止するための共同努力を強化することで合意。また最近の3か国による海上訓練が北朝鮮への対応能力を向上させているとの意見で一致。

韓国国会議員、南北軍事合意の破棄を主張。一部の与党議員らが、南北軍事協定が韓国のミサイル実験や演習の妨げになると主張し、協定を打ち切るよう要求した。

10月7日
国連安保理北朝鮮制裁委員会(専門家パネル)、中間報告書で北朝鮮の核実験が近いと分析。

10月8日
北朝鮮、150機以上の戦闘機参加の航空攻撃総合訓練と、前線東部地区長距離砲兵分隊の集中火力打撃訓練を実施。

北朝鮮国家航空総局、北朝鮮のミサイル発射に対して非難決議採択の国際民間航空機関(ICAO)に反論。北朝鮮のミサイルテストは米国の「直接的な軍事的脅威から」国家と平和を守るための「自衛措置」であり、民間航空機の安全を配慮した発射試験は「周辺国家と地域の安全にいかなる威嚇や危害も与えなかった」と述べて、ミサイル発射の正当性を強調した。

北朝鮮国防省、米軍が原子力空母を朝鮮半島近海に再展開したことを非難。

10月9日
北朝鮮、短距離弾道ミサイル2発を発射。
韓国軍合同参謀本部によると東岸文川(ムンチョン)付近から発射され、飛距離約350キロ、最高高度が約90キロと探知した。朝鮮中央通信(22/10/10)は、「敵の主要港湾攻撃を想定」した「超大型ロケット砲射撃訓練」を行ったと発表した。

カービー米国家安全保障会議戦略広報調整官、北朝鮮と「無条件の対話」を行う用意があると述べる。ABCテレビの番組で。

中国外務省報道官、北朝鮮との対話再開のために米国は「言行一致」すべきだと主張。北朝鮮による弾道ミサイル発射に関する質問を受けて、米国が朝鮮半島周辺で日韓と共に行っている合同軍事演習を問題視し、北朝鮮に対して「悪意がない」ことを行動で示すべきだと述べた。

10月10日
朝鮮中央通信、朝鮮人民軍の戦術核運用部隊による一連の軍事訓練(9月25日~10月9日)についての詳細を発表。
同通信によると、訓練は9月から10月にかけて立て続けに行われている米韓及び日米韓の軍事演習への対抗措置として朝鮮労働党中央軍事委員会が実施を決定し、「戦争抑止力と核反撃能力を検証、判定し、敵に厳重な警告を送る」ことを目的に行われた。同通信は「7回にわたって行われた戦術核運用部隊の発射訓練を通じて……完全な準備態勢にあるわが国家の核戦闘武力の現実性と戦闘的効率、実戦能力があまねく発揮された」と評価した。軍事訓練を指導した金正恩総書記は、「敵は我々に軍事的威嚇を加えながら相変わらず対話と交渉を云々しているが、我々には敵と対話する内容も必要性も感じない」と述べて、力には力で応じる姿勢を示した。
 個々の訓練内容は以下。
9月25日 「北朝鮮北西部の貯水池にあるサイロに戦術核弾頭を装填することを想定した弾道ミサイル発射訓練」を実施。訓練は「戦術核弾頭の搬出および運搬、作戦時の迅速で安全な運用・取り扱いの手順の確認、運用システム全般の信頼性の検証、水中発射場での弾道ミサイル発射能力習得及び即応態勢の点検」を目的として行われた。
9月28日 韓国の「作戦区域の空港を無力化させる」ための「戦術核弾頭搭載を模擬した弾道ミサイル発射訓練」を実施し、「核弾頭の運用に関連するシステム全般の安定性を検証」した。
9月29日及び10月1日 「複数の種類の戦術弾道ミサイル発射訓練」を実施。「精密誘導兵器」や「上空爆発」などを組み合わせて「設定目標」に命中させ、兵器システムの「精度と威力を実証」した。
10月4日 新型地対地中距離弾道ミサイルを日本列島を横切る形で発射し、4500キロ先の太平洋上の目標水域に着弾させた。「朝鮮半島の不安定な情勢に対処して、敵により強力で明白な警告を送る」ために、朝鮮労働党中央軍事委員会がこの日に実施を決定した。
10月6日 「敵の主要な軍事司令部を攻撃する模擬訓練」を実施。「超大型多連装ロケット弾や戦術弾道弾の威力を確認」した。
10月9日 「敵の主要港湾攻撃を想定」した「超大型ロケット砲射撃訓練」を実施。

10月12日
北朝鮮、長距離戦略巡航ミサイル試射を実施。
朝鮮中央通信(22/20/12)によると、発射したミサイルは2発で、「朝鮮西海(黄海)の上空に設定された楕円および8字形飛行軌道に沿って」約2時間50分、2000キロ飛行して「標的に命中」させ、「兵器システム全般の正確性と技術的優越性、実戦効率性が完璧に確認された」。実験に立ち会った金正恩は結果を高く評価し、「敵に再び送る我々の明々白々な警告」だと述べた。

韓国大統領府、北朝鮮巡航ミサイルはあまりにも遅く迎撃可能なので韓国にとって脅威ではく、「圧倒的な力」をもって応える準備ができていると述べる。

10月13日
在韓米軍、韓国北部の江原道鉄原(カンウォンド・チョロン)の射撃場で多連装ロケット砲の射撃訓練を実施。

北朝鮮の軍用機への対応で韓国軍の戦闘機が緊急出動。翌日の韓国軍参謀本部の発表によると、北朝鮮軍は軍事境界線付近の「飛行禁止区域」に接近。「北朝鮮の軍用機10機あまりが13日午後10時半ごろから14日午前0時20分ごろにかけて」、朝鮮半島の西部で「南北間の軍事合意で設定された飛行禁止区域の北方5キロあたりまで」、朝鮮半島東部で「北方7キロあたりまで」接近した(共同通信、22/10/14)。

10月14日
北朝鮮が黄海と日本海に向けて韓国に対する警告射撃を実施。
朝鮮人民軍総参謀部報道官は、「南朝鮮軍」が「前線地域」で「10余時間にわたって砲撃を強行」した「挑発的行動」に対する「強力な対応軍事行動措置を取った」と説明し、韓国政府に対して「前線地域で軍事的緊張を誘発」させる軍事活動を停止するよう警告(朝鮮中央通信22/10/14、22/10/15)。13日実施の在韓米軍による射撃訓練を指すものと見られる。韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮は東西両岸から午前と午後の2回にわたって合計560発以上の砲弾を発射した。

北朝鮮が弾道ミサイル1発を発射。韓国軍によると、ミサイルは順安(スナン)付近から日本海に向けて発射され、飛行距離約700キロ、最高高度約50キロと推定される。

韓国政府、北朝鮮の貿易会社など16機関と15個人を制裁対象に追加したと発表。独自制裁の追加指定は、2017年12月以来。

米国務省報道官、北朝鮮との対話継続を再確認。米国政府の究極の目標は「朝鮮半島の完全な非核化」であり、そこに至る第一歩としての外交と対話に引き続き前向きであると述べる。

10月17日
韓国軍、定例の野外機動訓練、護国(ホグク)軍事演習を実施(28日まで)。
一部訓練には米軍も参加。

10月18日
軍事演習の韓国に対して朝鮮人民軍が警告射撃。
韓国軍が「南江原道鉄原郡(カンウォンド・チョロン)の前線一帯で数十発のロケット砲弾を発射」したことに対する警告(朝鮮中央通信、22/10/19)として、日本海と黄海に向けて、それぞれ100発以上の砲撃を行い、朝鮮人民軍総参謀部の報道官が「前線一帯の軍事的緊張を誘発させる無謀で刺激的な挑発行動を直ちに中断」するよう警告する談話を発表した。

駐韓米国大使、韓国に対する米国の「拡大抑止」を強調する一方で、「核兵器を除去」に「焦点」を合わせなければいけないと述べる。戦術核の韓国再配備論や一部韓国国会議員による核武装論への牽制ととれる発言。

日本政府、北朝鮮に対する独自制裁を発表。9月末からのミサイル発射に対し、北朝鮮の5団体の資産を凍結。

10月19日
前線で軍事演習を続ける韓国に対して朝鮮人民軍が再び警告射撃。
朝鮮人民軍総参謀部報道官が「前線一帯での刺激的な挑発行動を即時中断することを強く警告する」との声明を発表(朝鮮中央通信22/10/19)。韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮は西部の海岸から黄海の緩衝区域へ約100発の砲撃を行った。

10月20日
米国防省報道官、朝鮮半島非核化を目指す方針に変わりはないと表明。
米国は韓国を核武装させることを考えているのかという記者の質問に答えて。報道官は、バイデン政権は、核を含む米国の防衛力をフルに活用した米国の拡大抑止を確認してきたとも述べた。

10月22日
ソウルで尹錫悦大統領の退陣を求める集会に1万6000人が参加。
市民団体「ろうそく勝利転換行動」が主催。米国に無批判に従い「対外関係を台無しにしている」などと、尹政権の外交政策を非難した。

10月24日
韓国軍、黄海上の南北軍事境界線として朝鮮国連軍が設定する北方限界線(NLL)の南側に侵入した北朝鮮の商船に対して警告射撃。

朝鮮人民軍、北朝鮮商船に警告射撃の韓国軍に対して警告射撃。朝鮮人民軍総参謀部報道官は、韓国軍が「不明船舶取り締まりを口実」に「海上軍事境界線」を「侵犯」したためと説明。

米韓、黄海で合同軍事訓練を実施(~27日)。北朝鮮の特殊部隊の侵入を探知し撃退する機動訓練など。

10月26日
日米韓の外務次官級協議(東京)。
北朝鮮に対する抑止力強化などで一致。

10月27日
米国防省、バイデン政権の「核態勢見直し(NPR)」を発表。
「核抑止力」を「国家の最優先事項」と位置づけ、「極限状況」で核兵器を使用する可能性があると明言し、日本や韓国などに対する「拡大抑止」強化を約束。北朝鮮について、米国や同盟国に核攻撃を行えば、「金正恩政権は終焉を迎える」と警告。

ジェンキンス米国務省次官、北朝鮮が望めば「軍備管理」は選択肢になると発言。ジェンキンスは金正恩総書記が「仮に電話を取って『軍備管理について話したい』と言ったら、われわれはノーと言うつもりはない」と述べる。北朝鮮との核軍備管理に向けた交渉を示唆しているのではないかとの憶測に対して、プライス米国務省報道官が翌日朝鮮半島の非核化を目指す米国の政策に変わりはないと述べて、否定した。

10月28日
北朝鮮、日本海に向け弾道ミサイル2発を発射。
韓国軍によると、ミサイルは江原道(カンウォンド)通川(トンチョン)付近から発射され、飛行距離約230キロ、最高高度約24キロを探知した。

10月31日
米韓両空軍、大規模な合同演習「ビジラント・ストーム」を実施(~11月5日)。
最新鋭ステレス戦闘機F-35AやF-35Bなど240機以上が参加。米韓空軍による大規模な合同軍事演習は2017年12月以来。訓練の一部にオーストラリア軍も参加した。当初は4日までの予定だったが、北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けて1日延長し、戦略爆撃機B-1Bも訓練に参加させた。B-1Bの朝鮮半島飛行は2017年以来。

北朝鮮外務省報道官、「ビジラント・ストーム」実施の米韓を非難。同訓練は「侵略型戦争演習」であり、米国が「軍事的挑発」を続けるなら、「強化された次の段階の措置を考慮することになる」と警告。

11月1日
朝鮮労働党中央委員会の朴正天(パク・ジョンチョン)書記、米韓に対して「軍事的挑発」をやめるよう要求。
米韓が北朝鮮侵略を意図した「軍事的挑発」を続けるなら、「史上最もぞっとする代償を払うことになる」と警告。

11月2日
北朝鮮、「ビジラント・ストーム」への対抗措置として軍事作戦を実施(~5日)。
作戦の詳細は11月7日の記述を参照。

北朝鮮と韓国が南北境界線付近で警告射撃の応酬。北朝鮮は「ビジラント・ストーム」への対抗措置として実施の軍事作戦の一環として、日本海と黄海に向けて20発以上のミサイルを発射。そのうち1発が朝鮮国連軍設定の軍事境界線・北方限界線(NLL)の南側の海上に着弾した。韓国軍は対抗措置としてNLL北側に向けて3発のミサイルを発射。北朝鮮軍もそれに応える形で日本海に向けて約100発の砲撃を行った。弾道ミサイルがNLLの南側に着弾するのは南北分断後初。鬱陵島(ウルルンド)を含む慶尚北道(キョンサンブクト)鬱陵郡の全域に空襲警報が出された。NLLの南側の海上に着弾したミサイルについて、韓国国防省は後日、日本海で回収した漂流物の残骸から1960年代にソ連が開発した地対空ミサイル「SA5」だと分析した。

カービー国家安全保障会議戦略広報調整官、北朝鮮が西アジアや北アフリカ経由でロシアに大量の砲弾を提供していると主張。証拠は示さず。

11月3日
北朝鮮、ICBMと見られる1発を含む弾道ミサイル計6発を発射。
北朝鮮は弾道ミサイル5発を発射し、それとは別に「敵の作戦指揮システムを麻痺させる特殊機能戦闘部の動作信頼性検証のための重要な弾道ミサイル試射」を行ったと発表(朝鮮中央通信、22/11/7)。電磁パルス(EMP)攻撃を想定した訓練だった可能性もあるが、日米韓当局の分析などから、ICBM発射実験に失敗した可能性が高い。韓国軍合同参謀本部や防衛省の分析をまとめると、「火星17」と見られるICBMが順安(スナン)付近から発射され、飛距離は約760キロ、最高高度は約1920キロを探知したが、その後日本海上空でレーダーから消失した。他のミサイルは短距離弾道ミサイルで、2発は平安南道价川(ピョンアンナムドケチョン)付近から発射され、飛距離約330キロ、最高高度約70キロ、残りの3発は黄海北道谷山(ファンヘドコクサ)付近化から発射され、飛距離約500キロ、最高高度約150キロと探知した。またこの他にも、北朝鮮は日本海に向けて数十発(朝鮮人民軍参謀本部の発表で46発、韓国軍の発表で80発以上)の砲撃も行った。ICBMと見られるミサイルについて、日本政府はJアラートを発したが、日本列島上空まで到達しなかったので、その後訂正した。

米韓定例安保協議(ワシントン)の共同声明で、米国と同盟国に対する北朝鮮の核兵器使用は「金政権の終焉」を意味すると明言。韓国に対する米国の「拡大抑止」提供を強調。協議後、韓国外務省は韓国国内への戦術核配備は考えていないと述べ、非核化政策に変更はないことを確認した。

11月4日
韓国空軍の戦闘機80機以上が、北朝鮮の軍用機に対して緊急出動。
韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮の軍用機180機以上が南北軍事境界線の北側の空域を飛行したレーダー航跡が確認された。

国連安保理、北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けて緊急会合を招集。中ロと他の理事国の見解の相違で一致した共同声明は出せず。北朝鮮を一方的非難の米英仏などに対して、中ロは大規模な軍事訓練を繰り返して朝鮮半島の緊張を高めている米国を批判した。中国の張軍国連大使は米国に対して北朝鮮の正当かつ妥当な懸念に応えて対話を再開するための条件を整えるよう求めた。会合後、非常任理事国10か国と、安保理理事国に日韓を加えた12か国が、それぞれ北朝鮮を非難する共同声明を発表した。

国連事務総長、北朝鮮のICBM発射を非難。

北朝鮮外務省報道官、軍事演習強行の米韓を批判し、北朝鮮の軍事作戦を正当化。米国の言う「前提条件のない対話」と「外交を通じた問題解決」は「国際社会を欺瞞」する「煙幕」に過ぎず、本当の目的は「朝鮮半島の持続的な緊張激化と不安定」だと述べて、「挑発」には「超強力対応」で答えると警告。(朝鮮中央通信、22/22/4)

11月5日
北朝鮮、短距離弾道ミサイル4発を発射。
韓国軍合同参謀本部によるとミサイルは平安北道東林(ピョンアンプクドトンリム)から黄海に向けて発射され、飛行距離約130キロ、高度約20キロと探知した。

防衛省、航空自衛隊のF-2戦闘機と米軍の戦略爆撃機B-1Bが参加する共同訓練を九州北西の空域で実施したと発表。

11月7日
北朝鮮の金先敬(キム・ソンギョン)外務次官、北朝鮮の弾道ミサイル発射を一方的に非難した国連事務総長を批判。ミサイル発射は米韓の大規模空軍演習に対する「自衛的対応措置」である点を強調。国連に「公平性」と「客観性」を求めた。

北朝鮮国防省、米国が主張する北朝鮮とロシアの兵器取引疑惑を「反朝鮮謀略説」として否定。(朝鮮中央通信 22/11/8)

韓国軍単独の定例軍事演習「太極演習」を実施(~10日)。演習は、核兵器を含む北朝鮮の脅威に対して実際に戦闘任務を遂行する能力を習得することを目的とした指揮所訓練として行なわれた。

朝鮮人民軍の軍事作戦(11月2日〜5日)について総参謀部が作戦終了後にその内容を公表。朝鮮中央通信(22/11/7)によると、作戦内容発表にあたり総参謀部は米韓空軍合同演習「ビジラント・ストーム」について、「地域の緊張を意図的に高調させる公然たる挑発行為であり、特にわが国家を直接的な目標として狙った侵略的性格が極めて濃い危険な戦争演習」と述べて米韓を非難した。作戦は不屈の意志と北朝鮮の軍事力に対する自信を示し、自国の将兵に「必勝の信念を与えるため」に行われた。
 11月2日午前、平安北道のミサイル部隊が敵の空軍基地に対する攻撃を想定し、黄海の無人島を目標に散布弾および地下浸透弾頭を搭載した戦術弾道ミサイル4発を発射した。加えて、午前と午後に東・西両海岸の対空ミサイル部隊が23発の地対空ミサイルを発射した。
 同日午後、韓国が自国の「領海」近くに北朝鮮のミサイルが着弾したと主張して北朝鮮側の公海上に砲撃したことを受けて、北朝鮮咸鏡北道から韓国蔚山沖80キロ付近の公海に約590キロ射程の戦略巡航ミサイル2発発射した。
 11月3日、国防科学院の要請により、敵の作戦指揮システムを麻痺させる特殊機能弾頭の動作信頼性を検証するため、弾道ミサイル1発を試射した。さらに合計5発の超大型多連装ロケット砲および戦術弾道ミサイル、46発の長距離多連装ロケット砲を日本海に発射した。
 11月4日、米韓空軍合同訓練に対抗する意志を示すために500機の各種戦闘機を動員し、3時間47分にわたり空軍の総力出動作戦が行われた。
 11月5日、敵の空軍基地攻撃を想定して、黄海の無人島を目標とし、散布弾を搭載した戦術弾道ミサイル2発と超大型多連装ロケット砲2発を再び発射した。

11月8日
米財務省、北朝鮮制裁対象者リストに新たに2個人を追加。
北朝鮮の軍事活動やミサイル計画に直接関与した高麗航空のために行動した2個人を新たに制裁リストに加えた。またこれとは別に、「悪質なサイバー活動」により北朝鮮の大量破壊兵器プログラムを支援したと主張して仮想通貨ミキサーのトルネード・キャッシュを再指定した。

11月9日
北朝鮮、短距離弾道ミサイル1発を発射。
韓国軍合同参謀本部によると、ミサイルは平安南道粛川(スクチョン)付近から発射され、飛行距離約290キロ、最高高度約30キロと探知した。

11月10日
韓国国会、北朝鮮ミサイル発射や核実験の準備中止を求める決議採択。
本会議に出席した与野党の議員194人のうち、賛成が190、棄権4で、反対は0であった。

ソウル中央地裁、韓国の拉致被害者家族に賠償を命じる判決。朝鮮戦争時に北朝鮮に拉致された韓国人被害者の家族が、北朝鮮の政権と金正恩国務委員長に損害賠償を求めた裁判で、北朝鮮政府と金正恩に総額およそ2100万円の賠償金を原告10人に支払うよう命じる判決を出した。

11月13日
日米韓首脳、プノンペンで会談、共同声明で北朝鮮の核とミサイル開発を強く非難。
一方で米国は日韓に対する拡大抑止強化を再確認。

11月14日
米中首脳会談(バリ)。
朝鮮半島の核問題について、習近平主席は、朝鮮半島の問題の核心に正面から向き合い、それぞれの懸念、特に北朝鮮の正当な懸念に対してバランスのとれた解決策をとるべきだと強調した。それに対し、バイデン大統領は、中国を含む国際社会のすべての国が北朝鮮に責任ある行動をとるよう促す必要があると述べた。また、核実験や弾道ミサイル実験をしてはならないことを北朝鮮に明確に伝える責任が中国にあると提起した。

11月15日
中韓首脳会談(バリ)。尹錫悦大統領は習近平主席に対し、北朝鮮の核問題でより大きな役割を果たしてほしいと述べた。

中ロ外相会談(バリ)。両外相は、ウクライナ問題の他、朝鮮半島情勢についても意見を交換した。

11月16日
韓国、北朝鮮の人権状況を非難する国連総会決議(第三委員会)の提案国に4年ぶりに加わる。決議は、北朝鮮は「国民の生活向上よりも核・ミサイル開発に資源を投じている」と同国政府を非難している。同決議は2005年から18年連続で採択された。

朝鮮中央通信、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)と在日朝鮮人への弾圧を非難する記事を掲載。10月以降、日本の「右翼」や「反動層」が朝鮮総連と朝鮮学校に対して執拗に嫌がらせや脅迫を行なっている事実を列挙して非難した。その背景には、日本の保守派が自国民に北朝鮮と総連に対する敵対心・恐怖心を吹き込むことで、日米韓軍事演習を正当化するとともに、自国の軍事大国化に有利な情勢を作ることがあると分析した(朝鮮中央通信、22/11/16)。以降、朝鮮中央通信は同様の非難記事を11月21日まで連日掲載した。

11月17日
北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)外相、「侵略戦争演習」を繰り返す日米韓が地域の緊張をもたらしていると指摘し、日米韓が軍事力強化なら北朝鮮もそれに応じて軍事的対応を強化すると警告。

北朝鮮が短距離弾道ミサイル1発を発射。韓国軍合同参謀本部によると、江原道元山(ウォンサン)付近から日本海に向けて発射され、飛行距離約240キロ、高度約47キロと探知した。

日中首脳会談(バンコク)。岸田文雄首相は北朝鮮情勢をめぐり国連安保理などで中国が役割を果たすことに期待を示した。

11月18日
北朝鮮、ICBM「火星17」の発射実験に成功。
朝鮮中央通信(22/11/19)によると、最高高度約6000キロ、飛行距離約1000キロ。発射試験に立ち会った金正恩総書記は朝鮮半島周辺で軍事演習などを繰り返す米韓などを批判、「我が党と政府の超強硬報復意志をはっきりと示さなければならない」と述べて、核には核で、全面対決には全面対決で応じると宣言した。この発射実験の視察に金正恩とともに娘の金ジュエが同行したことにメディアの注目が集まった。

国連事務総長、北朝鮮に「挑発行為」を控えるよう求める。

米国、北朝鮮のICBM発射を非難。発射は複数の国連安保理決議に明確に違反すると述べるとともに、すべての国が安保理決議を完全に履行する必要性を強調した。また、北朝鮮に対し、さらなる「挑発行為」を控え、持続的かつ実質的な対話に関与するよう求めた。
 また、アジア太平洋経済協力会議(APEC)に出席していた日本、米国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダの6か国の首脳らがバンコクで緊急会合を開き、北朝鮮のICBM発射について協議した。

11月19日
日米、米韓がそれぞれ米軍の戦略爆撃機B-1B参加の合同軍事訓練を実施。
統合幕僚監部によると、自衛隊はF-2戦闘機を5機、米軍はB-1B戦略爆撃機を2機派遣し、九州北西部で共同訓練を行なった。また、韓国統合参謀本部によると、米韓は韓国の防空識別圏に入ったB-1B戦略爆撃機を米韓空軍のF-35AおよびF-16戦闘機が護衛する合同編隊飛行を実施した。

11月20日
北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)外相、ミサイル発射を「挑発」と非難した国連事務総長に反論。外相は、北朝鮮の軍事行為は米国の軍事的威嚇に対する「正当な自衛権の行使」だと主張し、「公正さ」と「客観性」を欠く国連に遺憾の意を表明。「朝鮮半島と地域の平和と安定」のためには、国際社会は「米国の挑発的な軍事行動を抑制し、阻止しなければならない」と述べた。

G7外相が北朝鮮のICBM発射を非難する共同声明を発表。18日の発射を安保理決議に対するあからさまな違反であるとともに核兵器とミサイル能力を発展させ多様化する決意を示したものとして北朝鮮を強い言葉で非難した。

11月21日 北朝鮮のICBM発射で国連安保理が緊急公開会合。ミサイル発射の責任を問う米国提案の決議案に中ロが同意せず、安保理として一致した見解は出せなかった。中国の張軍国連大使は、米国は軍事演習の中止や対北朝鮮制裁の緩和などの行動をとるべきだと主張し、ロシアのエフスティグニエワ国連次席大使は、米国が一方的に武装解除を強制しようとしているから北朝鮮がミサイル発射を繰り返すのだと非難した。

安保理会合後、14か国が北朝鮮のミサイル発射に対して非難の声明。声明は「安保理が一致した意見で北朝鮮の行動を非難し、違法な大量破壊兵器と弾道ミサイル開発を抑制するための行動をとる必要がある」と主張した。声明には、日米韓英仏の他、現在理事国のインドやアラブ首長国連邦(UAE)に加え、2023年1月から安保理入りするエクアドルやマルタなどが参加した。

11月22日
金与正党副部長、安保理緊急会合を非難。ICBM試射は米国の侵略から国家を守るための「自衛権行使」であり、それに文句をつけるなら「最も強い対抗措置」をとると表明。「米国が我々を武装解除させようといくらあがいても、我々の自衛権は絶対に手出しできず、反共和国敵対行為に執着すればするほど、より致命的な安保危機に直面するようになるということを銘記すべき」だと警告した。

韓国外務省、北朝鮮に対する独自制裁を検討していると表明。北朝鮮が核実験を行えばサイバー分野などで制裁を加える可能性を示唆した。

金正恩総書記、習近平国家主席から地域の安定と平和に関する書簡を受領。書簡は、習近平は「中朝関係を高度に重視している」との認識を示したうえで、中国は「地域と、ひいては世界の平和と安定、発展と繁栄を促進するために新しくて積極的な貢献をする用意がある」と述べた。書簡は、習近平が中国共産党第20回大会で総書記に再選されたことを祝う金正恩の祝電に対する答電として送られた。

11月24日
金与正、独自の追加制裁検討の韓国政府を非難し、制裁は「無用の長物」と指摘。「『制裁』などを口にして現在の危うい状況から逃れられると考えたのなら、本当の馬鹿である」と罵倒し、尹政権は「米国が与える骨をかじって歩き回る野良犬にすぎない」と非難した。(朝鮮中央通信 22/11/24)

11月26日 金正恩総書記、ICBM火星17の発射実験を成功に導いた関係者を激励。赤旗中隊の戦闘員、国防科学研究機関の高官、科学者、技術者、軍需工場の労働者に面会し、「力と力による対決」が「勝敗を決するこんにちの世界」では、第一の強者になってこそ国と民族を守ることができると述べ、「党に限りなく忠実な国防科学技術大集団と勇猛な軍需労働者が居り、わが人民の絶対的な支持がある限り、われわれの自衛力は世界最強の地位に登りつくことになる」と述べた。(朝鮮中央通信 22/11/27)

11月29日 岸田文雄首相、北東アジア非核兵器地帯構想は「信頼の基盤」を作ってからと答弁。衆議院予算委員会で、れいわ新選組の櫛淵万里議員より同構想に取り組むつもりはあるのかと問われ、「ただ、御指摘のこの非核兵器地帯構想については、やはり何といっても核兵器をめぐる信頼関係が基盤とならなければなりません。その際に、核兵器をめぐる透明性こそ信頼の基盤であると思います」と答弁した。

韓国軍、北朝鮮による核実験の兆候はないと述べる。北朝鮮の「核武力の完成」宣言から5年を迎えた日の記者会見で、同軍合同参謀本部キム・ジュンラク広報室長は「北の核実験はいつでも敢行可能だが、現在のところ注目すべき変化はない」と述べた。これまで米韓両政府や国連安保理北朝鮮制裁委員会は中国共産党第20回全国代表大会(2022年10月16日~22日)から米議会中間選挙(11月8日)までの間に北朝鮮の核実験が実施される可能性が高いと予測してきたが、予想を覆す展開となっている。

11月30日
サリバン米大統領補佐官、朝鮮半島及び周辺地域へのさらなる米軍展開を示唆。米シンクタンクCSISのオンライン会合で北朝鮮に対して「米国の戦略能力をより目に見える形にする」と述べた。

12月1日
韓国空軍、「宇宙作戦大隊」を創設。12月中の発足が予定されている在韓米宇宙軍との部隊協力を進め、米韓連合の宇宙作戦能力を高める計画である。衛星を使って北朝鮮の核・ミサイル動向の監視を強化するために創設されたものとみられる。

韓国統一部、北朝鮮弱者層の栄養・保健支援に取り組む民間団体を助成する事業を通じて、北朝鮮へ支援物資が搬出されたと明かす。

韓国国防省の文洪植(ムン・ホンシク)副報道官、韓国は米国のミサイル防衛システムに参加する意思がないとの立場を改めて表明。その理由として、韓国が米国のミサイル防衛システムに参加する場合、NATOのように米軍と同じシステムを採用するか、あるいは、システムを米軍と共同で開発する必要があるが、韓国はどちらの措置もとっていないことを挙げた。なお、韓国軍は米軍のシステムとは別の独自のミサイル防衛システムを構築している。

12月2日
日米韓、北朝鮮に対する新たな制裁措置を同時に発表。米財務省は、朝鮮労働党中央委員会委員3名を北朝鮮の弾道ミサイル計画に直接関与したとして制裁リストに加えたことを発表した(米国時間12月1日)。この3名は、EUが2022年初頭に制裁リストに加えた人物である。同時に、日本の外務省は、サイバー攻撃を行った疑いのあるラザルス・グループを含む3団体と1個人を新たな制裁対象に指定したと発表した。さらに、韓国外務省は、上記の朝鮮労働党幹部3名を含む合計10個人と8団体への制裁を発表した。これらはすべて米国がすでに制裁対象とした個人と団体である。

12月5日
米韓、江原道(カンウォンド)鉄原(チョロン)で多連装ロケット砲などの砲撃訓練を実施(~6日)。

朝鮮人民軍、米韓の砲撃訓練に対して警告射撃(~6日)。1日目は日本海と黄海に、2日目は江原道高城(コソン)付近から日本海に向けてロケット砲を砲撃。朝鮮中央通信によると1日目は130発以上、2日目は8時間半に渡り82発(韓国軍によると約100発)を発射。敵による陰湿な挑発行為に対する対応、警告と主張。

12月7日
米国のソン・キム北朝鮮担当特別代表、劉曉明(
リュウ・シャオミン中国政府朝鮮半島問題特別代表とオンライン会談。ソン・キムは、北朝鮮による「かつてない頻度」の弾道ミサイル発射に対する米国の深刻な懸念を伝え、北朝鮮を強く非難した。

12月12日
中韓外相、オンライン会談。
中国の王毅外相は、中国は引き続き平和的発展の道を追求すると述べ、韓国の朴振(パク・チン)外相は、中国が北東アジアと世界の平和と安定を促進する、より大きな貢献を期待すると述べた。また、両外相は朝鮮半島情勢についても意見を交換した。

EU、北朝鮮の弾道ミサイル開発で制裁対象として8個人と4団体を新たに追加。

12月13日
日米韓3か国の北朝鮮担当高官、インドネシア・ジャカルタで協議。
外務省の船越健裕アジア大洋州局長、米国のソン・キム北朝鮮担当特別代表、韓国の金健(キム・ゴン)・朝鮮半島平和交渉本部長が出席。3か国は制裁を調整し北朝鮮に対する国際的制裁レジームの抜け穴を塞いでいくとした。

12月14日
在韓米軍、新たに宇宙軍を創設。
米宇宙軍による2番目の海外宇宙部隊で、北朝鮮の核とミサイルの脅威に対抗するためミサイルの監視、探知、追跡を行うとともに、軍全体の宇宙戦力を強化することを任務とする。司令部はオサン空軍基地。

IAEAグロッシ事務局長、韓国を訪問し、北朝鮮の核問題について協議(~16日)。尹大統領からの北朝鮮の「挑発行為」対処への協力要請に対し、IAEAは北朝鮮の核計画阻止のため最大限の努力を払うとした。

12月15日
北朝鮮、推力140トンの大出力固体燃料エンジンの地上噴出実験に成功。
「5か年計画の戦略兵器部門の最優先5大課題」を実現するための「戦略的意義を持つ重大実験」と発表(朝鮮中央通信、2022/12/16)。

国連総会、北朝鮮の人権状況を非難する決議を採択。2005年から18年連続。韓国も4年ぶりに共同提案国となった。

12月18日
北朝鮮、「偵察衛星開発のための最終段階の重要実験」に成功。
その上で2023年4月までに軍事偵察衛星1号機の準備を終えると発表した。北朝鮮の国家宇宙開発局は、実験では「20メートル分解能実験用パンクロマチック撮影機1台と多スペクトル撮影機2台、映像送信機と各バンドの送受信機、コントロール装置と蓄電池などを設置した衛星実験品」を搭載したロケットを高度500キロメートルまで高角発射させ、宇宙空間での「撮影機運用技術と通信装置のデータ処理および伝送能力、地上管制システムの追跡およびコントロールの正確性をはじめとする重要技術的指標の確証」が得られたと発表した(朝鮮中央通信、22/12/19)。これにつき、防衛省などは北朝鮮が「準中距離弾道ミサイル」を2発発射し、いずれも最高高度約550キロで、約500キロ飛行したと発表している。

12月19日
北朝鮮が今年行ったミサイル発射にかかった費用はコメ50万トンに相当すると韓国政府関係者が指摘。
また北東部の咸鏡道では食糧不足による餓死者が続出したことが確認されたとした。北朝鮮は昨年、金正恩(キム·ジョンウン)政権発足後で最悪となる食糧難に陥った。増産に力を入れたものの、気象悪化と肥料不足で今年の収穫量451万トンは前年より18万トン減少した。ちなみに米国務省によると、2019年現在、米日韓3か国は北朝鮮の約200倍の軍事費を費やしている。

12月20日
韓国国防省、米軍の戦略爆撃機B-52 参加の米韓空軍合同訓練を実施。米空軍嘉手納基地所属のF-22ステルス戦闘機も参加し、韓国からはF-35およびF-15K戦闘機が済州島の南西で行なわれた合同訓練に参加した。

北朝鮮外務省報道官、談話で日本政府の安保3文書を非難。「日本が事実上、他国に対する先制攻撃能力の保有を公式化する新たな安保戦略を採択することにより、朝鮮半島と東アジア地域に重大な安保危機をもたらしている」と反発。「われわれは日本の不当かつ欲深い野望実現の企みに対し、朝鮮民主主義人民共和国がどれほど憂慮し、不快に感じているかを引き続き実際の行動で示す」とした。(朝鮮中央通信、22/12/20)。 

金与正(キム・ヨジョン)党副部長、北朝鮮の偵察衛星関連実験に対する韓国専門家の否定的な意見に反発。韓国では専門家らが公開された衛星写真の画質を「粗悪なレベル」と指摘していた。

12月21日 韓国国防部、2022年下半期の全軍主要指揮官会議で、米韓合同訓練の強化を決定。来年前半だけで20程度の訓練を、かつて実施していた韓米合同野外機動訓練「フォールイーグル」のようなレベルで実施する方針とした。北朝鮮の核・ミサイル脅威に対応できる実戦的なシナリオを作成し、来年の韓米合同訓練で用いる。

12月22日
米国政府、北朝鮮がロシアの民間軍事会社ワグネルとミサイル取引と主張。証拠は示さず。北朝鮮外務省は即座に否定。

韓国政府、韓国の地球観測用衛星で撮影した平壌の金日成広場周辺の鮮明なカラー写真を公開。この写真は、建物の形が鮮明で、広場周辺に植えられた木も肉眼で確認できる。北朝鮮は、19日にソウル市内の白黒の衛星写真を公開していたが、韓国の専門家は画質が粗悪であると批評していた。

12月23日
北朝鮮が弾道ミサイル2発を発射。韓国軍参謀本部などによると、順安(スナン)付近から日本海に向けて発射され、飛行距離はそれぞれ約250キロと約350キロ、高度約50キロ程度と推定される。

北朝鮮外務省、国連安保理で北朝鮮の「自衛権」を非難する「議長声明」模索の米国政府を非難。

12月26日
5機の北朝鮮の無人機が韓国の領空を侵犯。ソウル市内まで侵入し、P-73飛行禁止空域(大統領府および国防省庁舎を中心とする半径3.7キロの円形の区域)を飛行した。これに対し、韓国軍はジェット機と攻撃ヘリコプターを緊急発進したが、無人機の撃墜には失敗した。さらに北朝鮮の軍事施設を撮影するために偵察機を送り込んだ。

朝鮮労働党第8期中央委員会第6回総会拡大会議始まる(~31日)。金正恩は、北朝鮮を敵視する米韓日は軍事同盟の強化を図って朝鮮半島の緊張を高めているとの認識を示した上で、戦術核の量産を含む核戦力及び国防力の強化方針を表明した(朝鮮中央通信、23/1/1)。最終日には軍需工業部門が党に超大型多連装ロケット砲30門を贈呈した。

12月28日
尹大統領、北朝鮮の核兵器を恐れず、挑発に対して断固報復するよう指示。尹大統領は、大統領府および国家安保室のメンバーとの緊急会合で「北朝鮮のいかなる挑発に対しても、明確な言葉で処罰と報復を行うよう」指示し、また「北朝鮮が核兵器を持っているからといって、恐れたりためらったりしてはいけない」と強調した。(聯合ニュース、22/12/28)

12月30日
韓国、固体燃料ロケットの発射実験。忠清南道(チュンチョンナムド)泰安(テアン)郡より発射した。韓国国防省によると「実験前に発射ルートの空域と海域をクリアにするなどの予防措置をとったが、軍事安全上の理由から国民には知らせなかった」とのこと。

12月31日
北朝鮮、平壌近郊の黄海北道中和郡(ファンヘプクトチュンファグン)付近から日本海へ向けて3発の弾頭ミサイルを発射。朝鮮労働党へのロケット砲贈呈前の検証試験で第二経済委員会が実施。防衛省によると飛行距離は約350キロ、高度約100キロ。
 2022年における北朝鮮の弾道ミサイル発射は少なくとも計70発になる。