2024年

2024年4月16日更新(2024年4月11日の出来事までを掲載)

クロニクル趣旨文はこちら

1月1日
尹錫悦大統領、新年の辞で今年上半期までに「増強された韓米拡大抑止体制を完成させる」と表明。

韓国軍、「迎春の砲撃訓練」実施。

中朝両首脳、2024年を「中朝友好年」と定め、一連の活動を開始することを共同で宣言。

1月2日
韓国軍、全海域で艦砲射撃訓練と海上機動訓練を実施。

金与正朝鮮労働党副部長、「韓国大統領に送る新年メッセージ」と題した談話で皮肉を込めて尹政権及び前政権を批判。

1月4日
米国政府、ロシアが北朝鮮供与の弾道ミサイルKN23をウクライナ攻撃で使用と主張。

1月5日
朝鮮中央通信、金正恩総書記がミサイルの移動式発射台工場を現地指導と報道。
発射台ICBM「火星18型」のものと見られる。

北朝鮮、黄海の北方限界線(NLL)付近で海上実弾射撃訓練を実施。年始の韓国軍の軍事訓練に対する対抗措置で192発の砲弾を発射した。訓練についての報道発表で、朝鮮人民軍総参謀部は「民族、同族という概念はすでにわれわれの認識から削除された」と明言した。韓国軍もこれに対抗して海上射撃訓練を実施。

日米韓のインド太平洋対話が初会合(ワシントン)。米国のダニエル・クリテンブリンク国務次官補(東アジア・太平洋担当)、日本の河邉賢裕外務省総合外交政策局長、韓国の鄭炳元(チョン・ビョンウォン)外務省次官補が参加。共同声明では、北朝鮮の核・弾道ミサイル開発やロシアとの軍事協力の強化などを非難した。

1月6日
北朝鮮、「砲撃模擬欺瞞作戦」を実施。
翌日、金与正(キム・ヨジョン)は「130ミリ沿岸砲の砲声を模擬した発破用の爆薬を60回爆発」させたと説明。「欺瞞作戦」について延坪島(ヨンピョンド)の北方で60発以上の砲撃を行ったと主張する韓国政府を非難するとともに、韓国政府に対して、「わが軍隊の引き金はすでに安全装置を外した状態にある」と警告。「欺瞞作戦」と主張する金与正について、韓国軍は「韓国軍の探知能力に関する水準の低い心理戦に過ぎない」とかわした。

金正恩総書記、岸田首相に能登半島地震に対する見舞いの電報を送付。

1月7日
北朝鮮、海上実弾射撃訓練で88発の砲弾を発射。
朝鮮人民軍総参謀部は「通常の訓練体系の中で計画に従って実施」と説明。

1月8日
韓国国家情報院、ハマスが北朝鮮提供の武器を使用と主張。

金正恩総書記、現地指導の軍需工場で韓国は敵国との認識を改めて強調(~9日)。自分たちから戦争をするつもりはないが、「戦争を避ける考えもまた全くない」と述べ、韓国が北朝鮮の主権と安全を脅かそうとしたりするなら「躊躇することなく手中の全ての手段と力量を総動員して大韓民国を完全に焦土化する」と述べ、韓国政府が「対朝鮮対決政策」を完全に放棄しない限りこの決意は変わらないと明言した。

韓国軍合同参謀本部、2018年南北軍事分野合意に基づく海上の緩衝区域は事実上消滅したとの認識。北朝鮮軍による3日連続でのNLL付近での砲撃訓練などを受けて。

1月9日
日米韓ウクライナなど48か国とEU、北朝鮮提供の弾道ミサイルがロシアのウクライナ侵略に使用されたと断定し、朝ロを「最も強い言葉で非難する」共同声明を発表。
ロシアは使用を否定し、北朝鮮は「米国の根拠のない非難にいちいち論評する必要を感じない」(金星国連大使)との談話を発表。

1月11日
米国務省、北朝鮮製弾道ミサイルのロシアへの移転などに関わったとしてロシアの3団体・1個人を制裁リストに追加。

1月12日
北朝鮮、対韓国政策部門の実務会議を開催し、6・15共同宣言実践北側委員会など南北関係に関わる組織を全て整理することを決定。
年末の中央委員会総会で金正恩が南北政策見直しを支持したことを受けて。

113
韓国メディア、北朝鮮が海外向けラジオ平壌放送などを停止した模様と伝える。

114
北朝鮮ミサイル総局、極超音速滑空体を搭載した固体燃料式中長距離弾道ミサイルの発射実験を実施。
日韓防衛省によると、平壌(ピョンヤン)付近から発射された短距離弾道ミサイルは最高高度約50キロ、飛行距離約1000キロ。

日米韓の朝鮮半島担当高官、北朝鮮の固体燃料式中距離弾道ミサイルの発射を強く非難。米国のジュン・パク北朝鮮担当高官、韓国の金健(キム・ゴン)朝鮮半島平和交渉本部長、日本の鯰博行アジア大洋州局長による3者電話会談で。

115
金正恩総書記、最高人民会議第14期第10回会議で「共和国の繁栄・発展と人民の福祉増進のための当面の課題について」と題する施政演説。
地方の経済発展の必要性を強調し、10年間、毎年20地域の生活水準を向上させるための政策を実施する「地方発展20×10政策」を提案。南北統一に関する政策を転換し、韓国を敵国と位置付けて憲法改定するよう要請。米国の帝国主義への対抗と主権尊重の立場で国際社会に貢献する意向を表明。

北朝鮮最高人民会議で祖国平和統一委員会、金剛山国際観光局、民族経済協力局の廃止を決定。

日米韓、済州島南方沖で合同海上訓練(~17日)。米海軍から原子力空母「カールビンソン」など5隻、韓国海軍からイージス艦「世宗大王」など2隻、海自はイージス艦「こんごう」など2隻、計9隻が参加。海上遮断訓練などが行われた。

米韓、初の「サイバー同盟」訓練(~26日)

崔善(チェ・ソンヒ)外相ら北朝鮮代表団、ロシアを訪問(~17日)。崔は16日のプーチン大統領との会談で両国関係の発展を確認。プーチンは早期訪朝を希望した。また崔は同日ラブロフ外相とも会談した。

北朝鮮、ウガンダの首都カンパラで開かれた非同盟諸国首脳会議に代表団を派遣(~20日)。

118
日本海で日米共同空中訓練。
米軍のB-1Bと自衛隊のF-15などが参加。

日米韓の核問題担当高官、ソウルで会談。ミサイル実験、ロシアとの武器取引、敵対的な発言の増加について北朝鮮を非難。

国連安保理、14日の弾道ミサイル発射を受けて北朝鮮問題を協議する緊急の非公開会議開催。

119
北朝鮮国防省、国防科学院水中兵器システム研究所が日本海で水中核兵器システム「ヘイル(津波)-523」の重要な実験を実施したと発表。
日米韓の軍事訓練への対抗措置と説明。

米国の北朝鮮担当特別代表が交代。19日までにソン・キム氏は退任し、後任にジュン・パク氏が就任した。

124
北朝鮮、黄海へ向け新型戦略巡航ミサイル「プルファサル(火矢)3-31」を初の発射実験。

ロシア外相、日米韓は大規模合同演習等により「北朝鮮との戦争を準備」していると非難。

126
韓国国防調達計画局、北朝鮮に対する偵察能力を高めるための独自の中高度無人航空機の量産が始まったと発表。
開発は李明博(イ・ミョンバク)政権下の2008年より。

128
北朝鮮、潜水艦発射戦略巡航ミサイル「プルファサル(火矢)3-31」型を日本海に向け試射。
金正恩が指導。

130
北朝鮮人民軍、黄海に向けて戦略巡航ミサイル「ファサル(矢)-2」型の発射訓練。

21
中国の劉暁明(リュウ・シャオミン)朝鮮半島問題担当特別代表、スウェーデンのピーター・セムネビー朝鮮半島問題担当特使と会談。
スウェーデンは201910月に南北朝鮮の実務者会議を開催するなど朝鮮半島問題の解決に向けて関与を続けている。

22
北朝鮮ミサイル総局、巡航ミサイルの超大型弾頭実験と新型地対空ミサイルの試射。

朝鮮中央放送、金正恩総書記が南浦(ナムポ)の造船所を視察と報道。造船業の発展と海軍強化が最重要と述べる。

26
韓国統一省、脱北者への面接調査を基にした「北朝鮮経済・社会実態認識報告書」を刊行。

中韓外相が電話会談。中国の王毅外相は、朝鮮半島情勢に関わるすべての当事者が冷静さを保ち、緊張を悪化させるような言動を慎み、対話と協議を通じて懸念に対処することを望むと述べた。

27
北朝鮮最高人民会議常任委員会、南北の経済協力関連法の廃止に関する政令を全会一致で採択。
対象となったのは、朝鮮民主主義人民共和国北南経済協力法、金剛山国際観光特区法とその施行規定、北南経済協力関連合意書など。

スウェーデンのピーター・セムネビー朝鮮半島問題担当特使、ソウルで金健(キム・ゴン)朝鮮半島平和交渉本部長と会談。

29
岸田首相、衆議院予算委員会で日朝首脳会談実現への意欲を改めて示す。
金正恩との首脳会談へ向けて「具体的に様々な働きかけを行っている現状だ」と説明し、「大胆に現状を変えていかなければならない必要性を強く感じる」と述べる。

211
北朝鮮国防科学院、240ミリ多連装ロケット砲誘導弾の発射実験。
平安南道(ピョンアンナムド)の南浦(ナムポ)付近から黄海に向けて。

212
ジュリー・ターナー北朝鮮人権問題担当特使、日韓を訪問(~22日)。

214
金正恩総書記、新型地対艦ミサイル「パダスリ(ミサゴ)6」型の発射実験を指導。
韓国が独自に「北方限界線」を設けて実施する巡視活動を問題視し、北朝鮮が設定の海上境界線を侵犯すれば主権侵犯、武力挑発と見做すと断言。延坪島(ヨンピョンド)と白翎島(ペンニョンド)の北方の国境線水域での軍事的備えを強化するよう指示した。

韓国、ニューヨークでキューバと外交関係を樹立。水面下で交渉。

215
金与正党副部長、日本が北朝鮮を敵視する姿勢を改めるなら、両国は新たな未来を開いていけると発言。
個人的見解としつつも、日本が「解決済みの拉致問題や朝日関係改善とは何の縁もない核・ミサイル問題」をもちださなければ、両国が近づけない理由はないとした。岸田首相の平壌訪問の可能性にも言及した。

216
米国のブリンケン国務長官と中国の王毅外相が会談。
両外相は、出席したミュンヘン安全保障会議の機会を利用して、朝鮮半島情勢についても意見を交換し、あらゆるレベルで北朝鮮問題に関する意思疎通を継続することの重要性を確認した。

217
日米韓の国連代表部、北朝鮮の人権に関する国連調査委員会の報告書発表から10年に合わせ、世界で最も抑圧的な政権の一つとする共同声明を発出。

219
聯合ニュース、北朝鮮のウェブサイトから統一を象徴する朝鮮半島の画像の削除が続いていると報じる。
またNHKを引用する形で、北朝鮮が国歌の歌詞から朝鮮半島全体をさす「三千里」という単語を削除したことにも触れている。韓国を平和統一の対象とみなさない政策に転換したことの反映とみられる。

222
中国の劉暁明(リュウ・シャオミン)朝鮮半島問題担当特別代表、米国のジュン・パク北朝鮮担当特別代表とオンライン会談。
16日の米中外相会談での合意を受けて実施された(米国時間221日)。

226
韓国の申源湜(シン・ウォンシク)国防相、記者会見で北朝鮮の偵察衛星は画像転送信号が確認されていないと指摘。
ロシアの北朝鮮への食糧支援によって食料価格が安定しているとの見解を示した。

228
平安南道(ピョンアンナムド)の成川(ソンチョン)郡地方産業工場建設の着工式。
「地方発展20×10政策」で選定された都市のひとつ。金正恩総書記は演説で「地方発展20×10政策」で「前衛的役割」を担うために新たに創設された第124連隊の兵士らを激励した。

34
米韓合同軍事演習「フリーダムシールド(自由の盾)」(~14日)。
米国、韓国、オーストラリア、カナダ、フランス、英国など「朝鮮国連軍」参加国12か国が参加。野外機動訓練の数を昨年から倍増させ、48回実施した。演習に対して北朝鮮国防省報道官は声明で強く非難した。

36
金正恩総書記、西部地区重要作戦訓練基地を視察。

37
金正恩総書記、朝鮮人民軍の大連合部隊の砲撃訓練を指導。

311
「地方発展20×10政策」地方工業工場建設の着工式が複数の郡で順次行われていると朝鮮中央通信が伝える。
同通信が伝えたのは球場郡、雲山郡、燕灘郡、銀川郡、載寧郡、東新郡、雩時郡、高山郡、伊川郡、咸州郡、金野郡、金亨稷郡、長豊郡の着工式。

313
金正恩総書記、朝鮮人民軍戦車兵大連合部隊の訓練競技を指導。
金正恩が戦車を直接操縦。競技は近衛ソウル柳京守(リュギョンス)105戦車師団が「圧倒的な実力」で優勝した。

314
韓国統一省、韓国の拉致問題を解決するため、日本と協力し被害者家族の国際交流を支援する方針を明らかに。

315
金正恩総書記、朝鮮人民軍の「航空陸戦兵部隊」の訓練を指導。

韓国軍、北方限界線付近で大規模な軍事演習。白翎島(ペンニョンド)、延坪島(ヨンピョンド)など韓国北西部の島々で行われた。

318
超大型多連装ロケット砲の一斉射撃訓練を金正恩総書記が指導。
600ミリロケット砲の実践能力などを確認と説明。日韓政府は北朝鮮が平壌近郊から日本海に向け数発の短距離弾道ミサイルを発射したと発表。それによると、ミサイルは約300キロ飛行。最高高度は約50キロ。

ソウルで「未来世代のための民主主義」をテーマに民主主義サミット開催(~20日)。北朝鮮の人権状況の改善も議題に。

319
金正恩総書記が新型中・長距離極超音速ミサイル用固体燃料エンジンの燃焼試験を指導。

321
国連の北朝鮮制裁委員会専門家パネル、年次報告書を公開。
サイバー攻撃による核・ミサイル開発資金獲得の疑いや、北朝鮮に対する制裁逃れの石油精製品流入等について報告。報告によると、202319月に北朝鮮に持ち込まれた石油精製品は150万バレル超。安保理決議で定められた年間上限は50万バレル。

323
祖国統一民主主義戦線中央委員会が同組織の解体を正式に決定。

金成男朝鮮労働党国際部長が率いる朝鮮労働党代表団、北京を訪問。王毅外相らと会談。

324
金正恩総書記、朝鮮人民軍近衛ソウル柳京守第105戦車師団の司令部と直属第1戦車装甲歩兵連隊を視察。

325
金与正朝鮮労働党副部長、日本政府が首脳会談の提案があったと明かした上で、日朝関係は「日本の実際の政治的決断」次第という従来の立場を改めて示す。

326
金与正朝鮮労働党副部長、日本政府の立場が改めて明白になったと述べて、日本政府との接触は拒否すると表明。
前日の金与正の談話に対して林芳正官房長官が、「拉致問題が解決済みとの主張は受け入れられない」、拉致や核問題などを「包括的に解決」する方針に変わりはないと述べたことを受けて。

米韓政府、北朝鮮の石油精製品制裁逃れに対応するため実務協議体を発足(ワシントン)。

327
米財務省、北朝鮮の大量破壊兵器開発能力を強化するための資金送金に関与した疑いで6個人2団体を制裁対象に指定。

328
国連安保理、北朝鮮制裁専門家パネルの任期延長決議案を否決。
ロシアが拒否権。中国は棄権。

岸田文雄首相、記者会見で拉致問題などの解決に向け北朝鮮とのハイレベル協議を続けると表明。

329
崔善姫外相、「朝日の対話は我々の関心事ではなく、我々は日本のいかなる接触の試みも許容しない」と述べる。
日本の拉致問題について、解決努力する義務も意思も全くないと表明。

42
北朝鮮、極超音速弾頭を装着した固体燃料型の新型中長距離弾道ミサイル「火星―16B」の発射実験に成功。
金正恩総書記が現地指導。朝鮮中央通信によると、ミサイルは平壌市郊外から東北方向に発射され、最高高度は約100キロ、飛行距離は約1000キロだった。日韓当局は飛行距離について、600キロ程度と推定した。

日米韓、済州島南東区域で戦略爆撃機B-52参加の合同空中訓練実施。訓練に参加したB-52は横田基地に着陸。

米中首脳電話会談。朝鮮半島問題について、習近平国家主席は、脅迫と圧力をかけることをやめ、対話と交渉を再開し、対立激化のスパイラルから抜け出すべきと述べた。

韓国政府、ロシアの2団体と個人2人を独自制裁の対象にしたと発表。北朝鮮との武器取引や海外への労働者派遣に関わった事が理由。

410
日米首脳会談(ワシントン)。
共同声明で北朝鮮に関して「関連する国連安保理決議に従った北朝鮮の完全な非核化に対するコミットメントを改めて確認」。

韓国国会選挙。最大野党が圧勝。「共に民主党」が単独過半数を獲得。

411
日米韓、東シナ海で共同軍事訓練を実施(~12日)。
原子力空母「セオドア・ルーズベルト」など日米韓の艦艇6隻が参加し、北朝鮮の潜水艦などに対処するための対潜戦訓練を実施。

趙楽基(ジャオ・ラージー)中国全人代常務委員会委員長が北朝鮮を訪問(~13日)。11日に崔竜海(チェ・リョンヘ)北朝鮮最高人民会議常務委員長と会談し、両国間の文化・経済交流強化のための関連協力文書の署名に立ち会った。12日に中朝友好年開幕式に出席した。13日には金正恩総書記とも会談した。